ちくまプリマー新書<br> 富士山はいつ噴火するのか? ──火山のしくみとその不思議

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ちくまプリマー新書
富士山はいつ噴火するのか? ──火山のしくみとその不思議

  • 著者名:萬年一剛【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2022/07発売)
  • お盆休みの読書に!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント25倍キャンペーン(~8/17)
  • ポイント 200pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480684325

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内容説明

富士山はこの三百年ほど噴火していないが、それは仮の姿。実ははとても活発な火山だ。次に噴火するとしたらいつだろう? 噴火に至るマグマの動きを解説し、将来の噴火時期を予測する方法、降灰や溶岩流シミュレーションの受け止め方を考える。

目次

はじめに──日本の象徴、富士山
第一章 富士山は特別な火山なのか?
活火山と百名山
日本の火山のスタンダード? 蔵王山
蔵王山はどこまでが火山か?
富士山は特別に大きい火山か?
日本列島の分類
弧とは何か?
プレートテクトニクスと弧
弧によって異なる火山活動
成り立ちが違う東北日本弧と伊豆─小笠原弧
マグマだまりの深さが違うと火山活動も違う
沈み込むプレートも弧の性質を決める
押される力で変わる火山
富士山という巨大な問題
第二章 富士山は他の火山とどういう関係があるのか?
1980年代の火山活動
パターンと因果関係
弧でマグマはどうやってできるか
もともとは海の水がマントルへ
マントルでできたマグマはどうやって地表に上がってくるか
タコ坊主の実験
マントルダイアピルとホットフィンガー
富士山と西之島のマグマは がっている?
隣の火山にマグマが移動したケース
マグマの長距離移動
マグマはどうやって移動するのか
地震と噴火の関係
富士山と巨大地震の連動
噴火や地震は立て続けにおきるのが当たり前
火山は個別に見た方が良い
第三章 富士山は活発といえるのか?
竹取物語と富士山
更級日記
チリにある平安時代の富士山っぽい活火山──ビジャリカ火山
お手軽な活火山登山
山頂でひどい目に遭う
富士山に登った平安の人
富士山の火山ガス事故
その後の富士山、これからの富士山
第四章 富士山の次の噴火はいつ起きるのか
膀胱とマグマだまり
ししおどしとマグマシステム
ししおどしの動きを予測する
少し複雑なししおどし
複雑なししおどしかもしれない桜島
モデルと現実
モデルを疑う
火山地質学の登場
ししおどしの階段ダイアグラム
ボリュームプレディクタブルモデル
タイムプレディクタブルモデル
ランダムなししおどし
富士山の階段ダイアグラム
火山の将来予測と注意書き
わかりやすさの誘惑と戦う
火山の噴火予想
第五章 富士山の溶岩はどこまで流れるか
嫌われものだったハザードマップ
北海道生まれの火山ハザードマップ
特殊な地震で目が覚める
国直轄の火山ハザードマップ作成事業
改定された富士山の火山ハザードマップ
びっくりした想定
ひとつに決められない火口位置
実験でわかるマグマの上昇と火口
富士山の火口
溶岩流の体積と火口
双耳峰だった昔の富士山
崩れ去った古富士火山
やっぱり過剰見積もり?
所詮シミュレーション、されどシミュレーション
第六章 富士山の火山灰はどのくらい危険なのか
鹿児島の降灰
宝永噴火
降灰に襲われる江戸
噴煙と降灰
大きな噴石、小さな噴石
噴石はどれくらい危ないか
富士山に近いところに残された体験談
火山灰で麻痺する交通
現代都市は降灰に弱すぎる?
一番の問題は水不足
死者ゼロだった宝永噴火?
「避難=安心・安全」ではない
大規模噴火は将来の課題
おわりに
〈引用・参考文献〉

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

112
富士山が最後に噴火したのは1707年12月16日午前10時。いわゆる宝永噴火である。江戸にも15日間で4cmの火山灰が積もった。意外にも降灰が直接の死因という記録はない。しかし現代では交通、水の確保が困難となり、数百万単位の人に生命の危険が及ぶと予測される。政府は2021年3月改訂版の富士山ハザードマップを公表した。それによると溶岩流は小田原市の北部まで来るというシミュレーション結果であった。溶岩流に埋まった町が再生した記録は明治以降ない。では噴火はいつ起こるのか?富士山の成り立ちも含めて読みやすい本。2022/11/20

まーくん

87
プリマー新書は対象が青少年の入門書と思われるが、本書は専門家以外の一般の大人が読むのにも適当。内容充実。表現も大変わかり易い。サービス精神旺盛で時々、オヤジ・ギャグのようなものも。これは微妙。最初に地球科学の現象を考えるに当たって基礎となるプレート・テクトニクスについて、特に火山との関係について要領よく解説してくれている。その上で富士山に限らず一般の火山のしくみや分布が何故今のようになっているのか説明があるので納得がいく。 結論は残念ながら今の火山学のレベルでは次はいつ噴火するかについてはわからない。⇒2024/02/23

きみたけ

58
語り口調が独特で面白かった。著者は火山地質・降水シミュレーションが専門で日本火山学会理事の萬年一剛氏。富士山のこと、宝永噴火のことを学び、こんな噴火が現代日本で発生したら大変なことになると恐怖を感じたのがきっかけで、著者の中で生じた疑問と彼なりの答えがまとめられた一冊。やはり気になるのは噴火した際の被害予測で、航空・鉄道・道路は寸断、噴石からいかに逃れるか、水の確保など課題が多い印象。噴火のメカニズムをししおどしに例え、不規則な動きを「5歳児とネコに放出を委ねたししおどし」で説明していて面白かったです。2023/04/05

ホークス

34
2022年刊。入門者向け新書レーベルのおかげか、富士山の噴火について一般に近い感覚で書いてある。少しクセはあるけど間違いなく分かりやすい。AIを使っても、災害の最大最小の見当がつくだけで、噴火レベルの詳細は予測できない。どこまで備えるかは人が結論を出すしかない。広範囲に影響するのはやはり火山灰。交通機関は火山灰にとても弱く、物流が止まると食料も直ちに不足する。飲料水も浄水が止まるためピンチになる。集中して住んでいるリスクは相当に大きい。結局のところ、「何をどこまで」は一人一人の認識が左右していくと思う。2024/02/12

Ezo Takachin

10
火山学について学ぶことができる書。江戸時代の噴火以来静寂を守り続ける富士山。しかし必ず噴火する可能性はある。現在の綺麗な姿の富士山の形が変わるかもしれない。また、現代社会では火山灰による影響が一番心配される。情報、通信、交通インフラに大打撃を与えるのは間違いない。地元有珠山は定期的に噴火し、噴火前の兆候もしっかり観測できるから2000年の噴火では、事前に住民避難対応がしっかりできた。富士山はではどうなのか?2023/02/21

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