内容説明
富士山はこの三百年ほど噴火していないが、それは仮の姿。実ははとても活発な火山だ。次に噴火するとしたらいつだろう? 噴火に至るマグマの動きを解説し、将来の噴火時期を予測する方法、降灰や溶岩流シミュレーションの受け止め方を考える。
目次
はじめに──日本の象徴、富士山
第一章 富士山は特別な火山なのか?
活火山と百名山
日本の火山のスタンダード? 蔵王山
蔵王山はどこまでが火山か?
富士山は特別に大きい火山か?
日本列島の分類
弧とは何か?
プレートテクトニクスと弧
弧によって異なる火山活動
成り立ちが違う東北日本弧と伊豆─小笠原弧
マグマだまりの深さが違うと火山活動も違う
沈み込むプレートも弧の性質を決める
押される力で変わる火山
富士山という巨大な問題
第二章 富士山は他の火山とどういう関係があるのか?
1980年代の火山活動
パターンと因果関係
弧でマグマはどうやってできるか
もともとは海の水がマントルへ
マントルでできたマグマはどうやって地表に上がってくるか
タコ坊主の実験
マントルダイアピルとホットフィンガー
富士山と西之島のマグマは がっている?
隣の火山にマグマが移動したケース
マグマの長距離移動
マグマはどうやって移動するのか
地震と噴火の関係
富士山と巨大地震の連動
噴火や地震は立て続けにおきるのが当たり前
火山は個別に見た方が良い
第三章 富士山は活発といえるのか?
竹取物語と富士山
更級日記
チリにある平安時代の富士山っぽい活火山──ビジャリカ火山
お手軽な活火山登山
山頂でひどい目に遭う
富士山に登った平安の人
富士山の火山ガス事故
その後の富士山、これからの富士山
第四章 富士山の次の噴火はいつ起きるのか
膀胱とマグマだまり
ししおどしとマグマシステム
ししおどしの動きを予測する
少し複雑なししおどし
複雑なししおどしかもしれない桜島
モデルと現実
モデルを疑う
火山地質学の登場
ししおどしの階段ダイアグラム
ボリュームプレディクタブルモデル
タイムプレディクタブルモデル
ランダムなししおどし
富士山の階段ダイアグラム
火山の将来予測と注意書き
わかりやすさの誘惑と戦う
火山の噴火予想
第五章 富士山の溶岩はどこまで流れるか
嫌われものだったハザードマップ
北海道生まれの火山ハザードマップ
特殊な地震で目が覚める
国直轄の火山ハザードマップ作成事業
改定された富士山の火山ハザードマップ
びっくりした想定
ひとつに決められない火口位置
実験でわかるマグマの上昇と火口
富士山の火口
溶岩流の体積と火口
双耳峰だった昔の富士山
崩れ去った古富士火山
やっぱり過剰見積もり?
所詮シミュレーション、されどシミュレーション
第六章 富士山の火山灰はどのくらい危険なのか
鹿児島の降灰
宝永噴火
降灰に襲われる江戸
噴煙と降灰
大きな噴石、小さな噴石
噴石はどれくらい危ないか
富士山に近いところに残された体験談
火山灰で麻痺する交通
現代都市は降灰に弱すぎる?
一番の問題は水不足
死者ゼロだった宝永噴火?
「避難=安心・安全」ではない
大規模噴火は将来の課題
おわりに
〈引用・参考文献〉
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