ちくま新書<br> 国連安保理とウクライナ侵攻

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ちくま新書
国連安保理とウクライナ侵攻

  • 著者名:小林義久【著者】
  • 価格 ¥946(本体¥860)
  • 筑摩書房(2022/07発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074911

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内容説明

「あなたたちは国連を終わりにするのか。いいえと言うならただちに行動すべきだ」。2022年4月5日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、国連安全保障理事会でのオンライン演説で訴えた。安全保障理事会で拒否権を持つ五つの常任理事国の一国であるロシアによるウクライナ侵攻は、安保理の機能を停止させ、国際秩序の根幹を揺るがしている。たった五つの国にだけ拒否権という特権を認める歪な仕組みはなぜ生まれ、温存されてきたのか。その誕生からウクライナ侵攻を巡る攻防まで、国連安全保障理事会の真実を描く。

目次

第一章 壊された国連
1 安保理緊急会合
拒否権発動
二〇二二年二月二一日~の動き
揺らぐ国際秩序
茶番と化した安保理
安保理はプロパガンダを広げる場
拒否権制限の議論
平和のための結集会議
国連総会における三回の決議
減り続ける賛成票
本書の視点
2 経済制裁の限界
制裁外交の開始
アメリカによる金融制裁発表
国際決済網SWIFTからの排除
デフォルトに至らず
エネルギー依存の罠
EU各国とロシアの関係
制裁に加わらない中国
インドの複雑な立場
割れるG20
3 人道犯罪の発覚
ブチャで見つかった三〇〇人の遺体
ICCによる戦争犯罪捜査
戦争犯罪はどのように裁かれるか
プーチンを裁けるか
化学兵器使用の確認は困難
4 停戦の条件は何か
戦争の長期化をにらむ
プーチンは停戦に応じるか
反古になった「ブダペスト覚書」
国連が果たす役割
第二章 戦後の世界秩序とは何か
1 国連の成り立ち
ニューヨークにある国連本部
米英主導の創設
安保理のもとになった「四人の警察官」構想
本部設置を巡る対立
2 安全保障理事会の正体
国連による集団安全保障
安保理の持つ権限
P5が拒否権を持つ理由
国連憲章の謎
消せない旧敵国条項
3 東西冷戦下の安保理
米ソ拒否権の応酬へ
PKOの真実
停滞する安保理
冷戦後に活発化
欧州でのにらみ合い
NATOの東方拡大
プーチンが抱く恐怖心
第三章 中国の台頭と対テロ戦争の時代
1 中国の台頭
自由貿易を目指して
GATTからWTOへ
WTO加盟で経済成長を遂げた中国
世界最大の発展途上国
2 一時の中ロ─英米仏協調
北朝鮮核問題への協調対応
中国が折れず議長声明に
はしごを外された日本
対テロ戦争と国連
武力行使の正当化
「国連とは安保理で、安保理とは米国だ」
3 「新冷戦」時代へ
自信つけた中ロ
クリミア併合とシリア内戦
コロナで見えた中国の影響力
WHO事務局長選挙の行方を決めたG77
国連総会で増す中国の「数の力」
第四章 核兵器と五大国
1 ロシアは核兵器を使うのか
プーチンは核のボタンを押すか?
欧州の核バランスは一触即発
戦術核で優位に立つロシア
ロシアが原発を狙う理由
原発攻撃の危険性
「汚い爆弾」への懸念
2 P5の核の力
IAEAとはなにか
NPTの欺瞞
進まない核軍縮
P5体制の弱点
なぜイランは核を持てないのか
3 核兵器禁止条約の誕生
被爆者の声をベースに
核兵器禁止条約の理念
P5に見切りをつけた小国たち
条約制定交渉に参加しなかった日本
ウクライナ侵攻が核政策にもたらす影響
第五章 これからの国連
1 国際連盟の教訓
アメリカの不参加
効力のない制裁、相次ぐ脱退
ゼレンスキー大統領の訴え
2 失敗続けた安保理改革
常任理事国入りをめぐる争い
G4対コーヒークラブ対P5
動きだした岸田首相
ロシアの資格 奪はあるのか
3 希望
国連は死んでいない
S5(スモールファイブ)の挑戦
P5の一国による提言
人権理事会への信頼
国連再生の道はあるか
第六章 中国は台湾に侵攻するのか
1 「台湾有事は五年以内」の予測も
日本の安全保障が受ける影響
ウクライナ侵攻はテストケース
習近平の悲願
米司令官の予想
アメリカは介入するか
強まる米台の結びつき
2 安保理は動けるか
台湾は国連加盟国ではない
介入の可能性
存在感薄れる台湾
3 巻き込まれる日本
日米安全保障条約に基づく対応
米国は尖閣を守ってくれるのか
中国が台頭する時代の集団安全保障
あとがき
主要参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

68
国際問題を専門にするジャーナリストが、ロシアのウクライナ侵攻と中ロの国連安保理拒否権行使を切り口にして、幅広く国連、特に安保理の抱える問題点を解説したもの。そもそも第2次世界大戦の「勝者連合」であり、その代表格である5か国(中国の転変については記載はあったが、当初の参加の事情はもう少し掘り下げて欲しかった)が拒否権を行使することの問題点(ある意味必然ではあるが)を指摘する。特に「警察官が自ら犯罪を起こして取り締まりを拒む」といった意味合いの例えはよく本質を突いている。一方ウクライナ事情はあまり詳しくない。2022/11/20

きみたけ

60
著者は共同通信社外信部担当部長で日本大学非常勤講師の小林義久氏。国連などの多国間外交、アメリカ政治・社会問題を専門。国連の安全保障理事会の成り立ちや拒否権の仕組みなどがよく分かる一冊。常任理事国であるロシアによるウクライナ侵攻は食い止めることができるのか、中国の「台湾有事」の予測、国連が役割を果たすための安保理改革の話などを記載。日本も人道・人権を重視する立場で貢献して欲しいが、難民受入・死刑制度廃止などの改善をしなければ発言力は弱いままとのこと。せめて敵国条項は撤廃して欲しいです。2023/01/25

nagoyan

13
優。全体にジャーナリスティック。第1章はウクライナ戦争のもう一つの戦場「国連安保理」の機能不全を描く。第2章は、国連・安保理の冷戦終結までの歴史。第3章は、中国の台頭以後の国連・安保理。第4章は、核兵器とP5の特権。第5章は、国連改革として小国の努力。第6章は、台湾危機。中国の台頭に対して地域安全保障体制を展望する。著書は、露暴挙に国連体制の危機。しかし、P5は自らの特権維持という共通利害には結束。P5の特権とNPT体制には強い関連。日独印らの安保理改革は成功しない。小国主導の国連改革に期待、と説く。2022/07/16

かんがく

11
著者は元新聞記者なので、国連に対する様々な人々の貴重な言葉や、現場の雰囲気などはよく伝わってきた。一方、国連に関する説明や論考は教科書レベルの域を越えずに期待外れだった。2023/02/07

スプリント

8
現在の課題をわかりやすく説明されている。 解決までの道のりは遠いことも理解できた。 結局は大国の意向次第。2025/05/26

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