講談社現代新書<br> 漂流 日本左翼史 理想なき左派の混迷 1972-2022

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講談社現代新書
漂流 日本左翼史 理想なき左派の混迷 1972-2022

  • ISBN:9784065290125

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内容説明

労働運動の攻防、社会党の衰退、国鉄解体の衝撃。
左翼はもう存在感を取り戻せないのか? 
左派の未来の可能性を問う、「左翼史」第三弾!


【本書の目次】

序章  左翼「漂流」のはじまり
第1章 「あさま山荘」以後(1972-)
第2章 「労働運動」の時代(1970年代1)
第3章 労働運動の退潮と社会党の凋落(1970年代2)
第4章 「国鉄解体」とソ連崩壊(1979-1992年)
終章   ポスト冷戦時代の左翼(1990年代-2022年)


【本書の内容】

・共産党で起きた「新日和見主義事件」
・内ゲバ「川口大三郎事件」の衝撃
・東アジア反日武装戦線と「三菱重工爆破事件」
・「日雇い労働者」をオルグする方法
・労働運動で「布団屋」が繁盛した?
・吉本隆明が左翼に与えた影響
・「郵便番号を書かない」反合理化闘争
・「革新自治体」「革新首長」のムーブメント
・上尾事件と首都圏国電暴動
・社会党の弱体化と「江田三郎の追放」
・「国鉄民営化」と中曽根康弘の戦略
・土井たか子という尊皇家
・衰退した社会党、生き残った共産党
・メディアが「エリート化」した弊害
・新しい左翼と「ヴィーガニズム」「アニマルライツ」
・「ウクライナ侵攻以後」の左翼とは  ……ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

153
あさま山荘事件で新左翼が完全に国民から見離されて以後、いわゆる左派は労働運動に突破口を見い出した。しかし左翼を率いてきた社会党は国鉄ストの失敗や民営化、ソ連崩壊などで目標とすべき理想を見失って事実上消滅し、共産党も組織防衛を優先して国民の信頼を得られる未来像を提示できていない現状が浮かび上がる。日本で左派の「失われた20年」が続く一方、中南米や欧州では格差拡大やインフレへの不満を受け左翼政権誕生や議会選勝利が相次ぐ。なぜ日本の左翼は停滞から脱せられないのか、現代史の碩学というべき2人に分析してほしかった。2022/08/21

trazom

123
3巻に渡った「日本左翼史」を読み終えて、多くのことを思う。「「労働力の商品化」という資本主義が内包する絶対的矛盾にどう対峙するかで左翼か否かが問われる」という佐藤さんの指摘は鋭い。今こそ、働き方や生き方の問題として「労働力」を見つめ直す運動が必要ではないのか。対談の最後で、二人は「現在の左翼の元気のなさ・影響力の弱さは、もはや彼らが「大きな物語」を語りえなくなっていることにある」と言うが、それは左翼の問題というより、大きな物語を捨て、小さな差異と目前の金儲けに走る新自由主義を選択した我々の責任である。2022/08/14

HANA

62
シリーズ最終巻は七十年代から現在まで。本書は学生運動が大衆に背を向けられてからソ連崩壊、社会党の凋落から左翼が環境運動等に活路を見出した事が語られている。個人的な感想を言うと左翼は学閥ムラやマスコミの一部にのみ生き残ってるジャングルの日本兵状態だと思っているが、本書でますますその感を強くする。エリート意識だけを強くした結果、労働運動にコミットする事がなくなり、アメリカだとトランプが大統領になるし日本でも大衆から遊離しているし。とあれ現在も様々な所で現実を二分している運動の軌跡、詳しく知れて良かったです。2024/05/18

ちくわ

54
これは面白かった。様々な組織や運動を左翼という括りで一緒くたに見ていたけど、歴史や背景、登場人物を知り己が不明を恥じるばかりだ。ただこう再認識した…人には人の数だけ理想があり、それはそもそもが妄想なので、左翼は主導権争いや分裂が発生し易かった。また、掲げる理想の崇高さに反比例して、過激化したり上層部が腐敗したりで、民衆の支持を失っていった。そして何より、時代が求めて生まれたので、求められなくなり衰退した…自然の流れなのかな? 個人的には、左翼労働運動が今のトラック輸送時代への契機になったのは興味深かった。2024/10/08

yamatoshiuruhashi

54
シリーズ3部目。現代に至る。本書の書き出し(全巻の末)は自分は中学3年の終わり。高校受験の最中に浅間山荘事件、高校に入ったらすぐに「総括」と言う単語が飛び交った。そうして左翼が求心力を失っていく時代を選挙権を持つ大人として投票行動に結びつけつつ見て来たのだが、今回はその自分の時代を客観的に解説してくれる。私は保守的人間であるが、業界の締め付けにも拘らず民社党を支持していた。その頃「社公民」などという野党枠組みもあったのを本書で思い出したが、「公」は風を見るに敏であったわけか。2022/07/30

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