内容説明
「生き生き」とした言葉があふれかえる現代日本。人びとはなぜ、紋切り型の言葉を求めるのか。マスメディアや知識人はなぜ、「生きた言
葉」を発するのか。そして、その歴史はどう語り継がれてきたのか。「生き生き」とした言葉の裏側を覗いてみると、そこには死に絶えつつある思想の死相があらわれているのではないか。
本書は、「生き生き」とした言説を徹底批判した『デリダの遺言』の続編である。アドルノ、ベンヤミン、アーレント、デリダ、ハイデガー、フーコー、マルクス、ニーチェ、ラカン、スローターダイク。10人の知の巨人が登場する。
彼らは、「生き生き」とした言葉に対して、どのような警鐘を鳴らしてきたのか。「生き生き」とした思想の中から、どのように思想の死相を読み取り、語ってきたのか。思想が死相にひんする現代日本の状況に、彼らの「死の思想」は何を語りかけるのか。日本の思想は、死相から甦ることができるのか。
現代思想研究の最先端を走る仲正昌樹が、10人の知の巨人の思想をコンパクトに解説しつつ、彼らのテクストにひそむ「死の思想」を探る。
(※本書は2007/8/1に発売された書籍を電子化したものです)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
44
現代思想の10人を軽妙に論じている。10人中、7人がドイツ(アドルノ、ベンヤミン、アーレント、ニーチェ、マルクス、ハイデガー、スローターダイク)と、フランスの3人(デリダ、フーコー、ラカン)を上回っているのは著者がドイツ語圏の研究者だからだろう。この中で最後のスローターダイクだけがややマイナーだ。この思想家の考えは、イデオロギー批判を徹底することで、人びとを理想の社会へ導くことができると信じて突き進んできた啓蒙的理性をシニカルに批判する。この10人の中で著者に最も考え方が近いどころか、ここまで読んで来た読2024/05/10
カザリ
30
アーレントの100分で名著を観てからこの本でアレントの思想を補完しました。これもすごくわかりやすい本でアレント思想の概観を掴むのに助かりました2019/04/04
wanted-wombat
1
エクリチュールという死んだ事象を前提に置くところから始まる。「生き生き」した発言というものが自分にはまだ区別がつかないな、と勉強不足を痛感させられる。仲正さんの書籍らしく、すごく刺激的だった。2013/03/20
home alone
1
10人の思想家の考えを羅列した本。仲正さんにしては文句が少ない本だった。結構いいけどページ数関係で詳しくはない。2012/10/21
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