内容説明
イギリスの田舎町で劇団を主宰するマーティン・ヘイワードは地元の名士。次回公演を控えたある日、彼は劇団員に一斉メールを送り、2歳の孫娘ポピーが難病を患っていると告白。高額な治療費を支援するため人々は募金活動を開始したが、この活動が思わぬ悲劇を引き起こす。関係者が残した大量のメール、テキスト・メッセージ、メモ書き、新聞記事、SNS投稿。資料の山から浮かび上がる、殺人事件の真相とは?――イギリスで20万部突破、タイムズ紙が「21世紀のアガサ・クリスティー」と評した犯人探しミステリー。圧巻のデビュー作!
目次
主な登場人物
ポピーのためにできること
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えにくす
115
メール・メッセージ形式からなる、犯人当てミステリー。英国の田舎町の名士の孫娘の難病の為に、募金活動で高額治療費を捻出しようとした結果、発生した殺人事件を描く。慣れないメールの文章で、最初は読み難い。途中から慣れて登場人物の背景も分かり、俄然面白くなる。各々の人物の秘密や行動が次第に明らかになる様は、読んでいてワクワクする。最後に判明する、衝撃の事件の犯人は?募金に絡む巨大な疑惑の、驚愕の真相とは?ラストで到来したメールに、読者は恐れ慄くだろう。やっほー!という題の長文メールが来たら、気をつけて下さい。★42022/12/26
yukaring
105
"ある事件"の関係者達のメールやメモでほぼ構成される一風変わったミステリ。「資料から推理せよ」弁護士の指示で修習生の2人が資料を時系列で読んでいくのだが予想以上に面白い❗️アマチュア劇団主催の名士ヘイワード家の孫娘ポピーが難病を患い治療に莫大なお金が必要になる。周囲の人々は"ポピーのために"募金活動を開始。しかしメールからは人々の本音と建前や確執、寄付金の不審な動きなどが浮き彫りに。そして起こるべくして起こる事件。資料の山から浮かび上がる真相は驚きの連続。犯人当ては外したが新しいタイプのミステリを堪能。2022/07/04
遥かなる想い
94
2023年このミス海外第3位。 劇団の主催者の孫娘ポピーの難病を救おうと 始まった募金活動が 思わぬ悲劇を起こす… 物語がメールのやりとりで進んでいくのが 今時のミステリーらしい。一体誰が殺されるのか?なかなか事件が起こらないまま、メールの やり取りだけが進む。並行して 実施される司法修習生達のやりとりが 謎解きに繋がるのも新鮮。複雑な人間模様も 映像的で面白い、そんな作品だった。2022/12/15
stobe1904
93
【このミス2023海外3位】イギリスの田舎町でアマチュア劇団を主宰する地元の名士が、孫娘が難病で高額な治療が必要だと告白し、劇団メンバー含め募金活動を始めるが…。関係者のメール、供述調書、新聞記事をたどりながら事件の真相を追う構図は斬新で、やり取りの微妙なギャップを推理で追いながら読むことになる。過去に疑惑がある人物やつきまといのように大量にメールを送る人など、怪しい人に事欠かない。大きなヒネリや派手な展開はなくかなり長いが、じっくりと難解なパズルを解く喜びに浸るような素晴らしいミステリ。★★★★★2023/03/15
aquamarine
86
資料である膨大な事件関係者のメールとテキストメッセージによって、司法実習生の二人が、裁判中の事件を紐解いていくミステリ。事件が何かもわからない状態で、時系列に並んでいるそれらだけから人々の関係性や起きる事件を推理していくのは新鮮で面白い。読んでいるうちに頭の中で関係者がどんどん肉付けされて行き、色を成し、色を変える。地の文がないということの狡猾さに興奮する。私は行間にあるものをどれだけくみ取れただろう。このページ数をやめられずひたすら読んだ。全てが片付いた後の一通のメールのパンチ力も見事。2022/09/21