内容説明
「母娘の闘いは、大変だ。笑えるくらい、愛が噛み合わないことがある」(町田そのこ)――それは北海道に住む母と二人きりで向かった鳥取へのご先祖様墓参ツアーから始まった。二人の旅路はトラブル満載。結婚問題をめぐる数年来の母娘デスマッチのゴングが鳴る。話すほどに事態は混迷。母親がテレビの結婚相談に出演したことを知った娘は憤り、ついに絶縁状をたたきつけ……。自立した社会人として生きたい小説家の娘と、「人並みの女の幸せ」を望む専業主婦の母。恋愛、結婚、離婚、オンナの仕事、友情、そして世間。人生観をめぐる母と娘の衝突と和解の数々を、笑いあり怒りあり涙ありで綴るパワフルエッセイ。待望の復刊!
目次
ご先祖さま探訪ツアーはこうして始まった
母娘旅行はつねに戦場である
恋人と母親のグチの違いを考察する
ゴングはすでに鳴っていた
私はなぜ恋愛問題で常に冷静なのか、について
人間、いやいや人生いたるところ青山じゃなくて戦場あり
女はトイレで泣いて生まれかわるのだ
最終戦争前夜
そして娘は伝家の宝刀を抜いたのだった
母の詫び状
母と娘の細雪
娘が母に離婚をすすめるとき
退職した父よ、もはや娘はあなたの味方ではない
ご先祖さま万々歳!
毎度おなじみのおひらきで……
番外篇・そしてコンサートの夜
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マホカンタ
29
小・中学生頃に夢中で読んだ氷室冴子さん。大人になるにつれて彼女の本を手にすることは少なくなり、訃報に触れた時は、私の少女時代が終わったような気持ちになった。そんな彼女の作品、ここ数年、復刊されているのを目にして、あの頃には手にしなかったエッセイを読んでみることに。30代、作家として脂がのり、バリバリ作品を世に出す筆者と結婚こそ女の幸せと信じて疑わない実母とのやり取りを、頭に血を上らせながらも作家ならではの冷静な観察眼で描かれることに何度も吹き出したり感嘆しながら読了。古いけど古くない文章は流石の一言!2025/08/15
ピンガペンギン
26
氷室冴子さんは若くして亡くなってしまわれた(1957年-2018年)。中学生のころにコバルト文庫の「なんて素敵にジャパネスク」を愛読していた。この本では、独特の軽やかな文体で、母との確執(母の結婚しろ攻撃とそれへの反撃。)、作家として成功するまでの苦労のことなどがつづられていた。特に面白かったのは、著者が大学生の時に姪を育てるのを手伝ったときに観察した赤ん坊の生態についての箇所。最近、うちで大人三人で赤ちゃんの姪を子守りしたばかりで、かなり説得力を感じた。2025/04/04
タカギ
21
新装版。昔の版にはイラストが入っている。えー、コレ、連載してたんだよね。私は半ば連作短編集を読んでいる心持ちだった。著者は母と3泊4日の母方の先祖の墓参りをメインに据えた出雲旅行に出掛ける。母娘の旅行はいつも波乱含み。今回も初っ端から母の飛行機が遅延して暗雲が…。氷室冴子の母がテレビで娘の結婚相談をしたというのは有名な話だけど、そのディテールが可笑しいやら悲しいやら。ホントに徹底して分かり合えないのに、たぶん愛はあるのがツライところ。どこを読んでもハッとする面白い気づきに満ちていて最高でした。2023/01/17
すばる
9
旧版の時もそうだったけど、ずっと苦笑いしながら読んでしまった。なかなかしんどい内容です。それでも全編に漂う優しさと辛辣さがいかにも氷室冴子。これからもどんどん氷室さんの本が復刊されますように。/カバーの著者紹介部分、逝去年が「2018年」に誤植されてます。正しくは2008年ですね。2023/01/05
ロピケ
6
大物が育つにはいろんな条件があると思うのだが、偉大な母、というか自信満々な母親という存在も重要条件になるのではないか…と改めて思った。札幌の大学に通う子供を尋ねて近所をウロウロしたら、氷室さんの母校、藤女子大学を発見してここに通われていたんだなあ…と感慨深かった。後で知ったのだけれど、歌手の中島みゆきさんもここの出身だそうだ。すごいお嬢さま2名輩出。それにしても、冴子さんは芯が強く、母親想いの優しい方だったなあと人物像がはっきり浮かび上がる作品でした。2022/08/09
-
- 電子書籍
- 乙女ゲームのヒロインに転生して不安しか…
-
- 電子書籍
- 雪降る夏空にきみと眠る 上 竹書房文庫
-
- 電子書籍
- きみのキスで触れて。(1) フラワーコ…
-
- 電子書籍
- 卓球Dash!! Vol.14 週刊少…