内容説明
死者を呼び出し、生者へのメッセージを伝える盲目の巫女イタコは、1960年代のブームで一躍全国に知られる存在となった。その半世紀後、現実のイタコが高齢化した一方で、マンガやアニメでは少女イタコがシャーマンとして活躍している。東北の民俗宗教はいかにして新しい宗教文化になり得たのか? フィールドワークと資料の発掘、質問調査から丹念に追跡した貴重な論考。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
61
イタコや恐山のイメージが、マスメディアを通じてどう変質していったかを論じた一冊。恐山とイタコ。不即不離の関係のように感じていたけど、その関係が意外と近年に出来たのが驚き。イタコが戦前、そして五十年代に「発見」されてから、ディスカバージャパン、オカルトブームを通じて転変していく様がまずは興味深い。またマスメディアからだけではなく、それを通じた現地の変遷というのは、大祭や観光を通じて双方向性というのが実に目新しく面白かった。自分が漠然と抱いていたイメージ、ほとんどがメディアによって植え付けられていたんだなあ。2017/11/25
Toska
19
主題はイタコでも、民俗学ではなく社会学寄り。非常に面白い。理論的なパートは難物だが、頑張って読み進める価値は間違いなくあります。一地域の伝統的な民俗文化だったイタコが、マスメディアの世界でどのように表象され、そのイメージがオリジナルのイタコにどう反映(逆流)していったのか。明治期の啓蒙政策による弾圧から民俗学的な関心、オカルトブームを経て現在へ。今では「イタコ芸」(初出1989年?)のような比喩表現が成立するほどポピュラーになったイタコだが、オリジナルの方は消滅の危機にあるという皮肉。2025/03/31
owlsoul
8
イタコといえば恐山で死霊を憑依させる巫女というイメージが流布している。だが実際は、イタコが恐山に集うのは祭事の数日のみであり、本来は恐山とは関係ない民間信仰だった。それがメディアによって「恐山のイタコ」と喧伝され、今や菩提寺の信仰をも揺るがす影響力を持つに至る。メディアにより変質したイタコの存在は、本来の姿を失った「偽物」のように思える。しかし、宗教をはじめとする超自然的な世界は、古来から教典、偶像、絵画、儀礼などのメディアの中に存在してきた。メディアに強い影響を受けることは、超自然的世界の本質でもある。2025/02/24
れなち
2
恐山といえばイタコと言っても、意外とその歴史は浅いようです。むしろ伝統的なのは場としての恐山。ただしイタコブームを生み出したメディア批判にとどまらず、ブームが寺院や地域自治体、あるいはイタコの「お客様」など多角的な観点から研究を進めているのがおもしろかったです。恐山大祭や出張イタコの取材も読み応えがありました。2022/02/12
takao
1
博士論文+α2022/05/10
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