内容説明
人生のダメな時期、万歳。人生のスランプ、万々歳。
青春小説の金字塔、待望の続篇。
バブル最後の売り手市場に乗り遅れ、バイトとパチンコで食いつなぐこの男。名を横道世之介という。いわゆる人生のダメな時期にあるのだが、なぜか彼の周りには笑顔が絶えない。鮨職人を目指す女友達、大学時代からの親友、美しきヤンママとその息子。そんな人々の思いが交錯する27年後。オリンピックに沸く東京で、小さな奇跡が生まれる。
『続 横道世之介』を改題。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まさきち
162
大学を卒業したものの職に溢れ、相変わらずヘラヘラとして頼りないものの、どこまでも善良で人の心に足跡をしっかりと残していく世之介の一年を綴った一冊。前作同様彼女は添い遂げられないのがわかって残念に感じたものの、作中の人達同様、彼に癒やされて気持ちいい読了感をもらえました。2022/07/04
みも
158
内容としては大学卒業後の元ヤンの彼女とその家族との日々。月並みな他愛もない日常を前作踏襲で1年に当て嵌めて描くのだが、いつでもどこでも、そしていつの時代も飄々とやり過ごす世之介の姿が僕らに生きるヒントを与えてくれる。沢山の出逢いと別れを経験する世之介なのに、別れの描写は一切ない。つまり彼に別離の場面は似合わないという事なのだ。でもなぁ…2回もプロポーズを受け入れて貰えなかったら落ち込むよなぁ…とかなんとか言いながら本を閉じた僕だけど、何はともあれ憎めない男だなぁと感心させるのが、横道世之介という男である。2024/12/16
エドワード
151
横道世之介に再び会えた幸せを噛みしめる。平成5年4月、池袋のパチンコ屋から始まるパートⅡ。そして、令和2年に開催された<幻の>東京オリンピックが交互に描かれる。バイトに明け暮れる世之介が相変わらず明るい平成編。人生にはスランプがあるものだ。しかし、スランプだからこそ出会えた人々がいる。寿司職人の浜ちゃん、同級生のコモロン、日吉桜子と息子の亮太、何と愛すべき人々だろう。この亮太がオリンピックのマラソン選手になって令和編につながるから面白い。終幕、桜子の兄にカメラを向ける場面が、前作に重なって鳥肌が立ったね。2022/06/18
Kanonlicht
129
大好きなシリーズ。就活に失敗し、フリーター2年目となった主人公の1年間を追う。心を揺さぶられるのは、彼が出会った人々の数年後(今回は2021年の東京オリパラが描かれる)。それぞれ別の道を歩みながらも、ふと過去を振り返ったときに思い出すのは、当時の主人公の姿。彼の「善良さ」が多くの人に影響を与えていたことがわかる。完結編が連載中とのこと。終わってしまうのは少し寂しいけれど、また彼に会えると思うとうれしい。2023/02/10
ふじさん
128
就職戦線に乗り遅れ、パチンコとバイトで生活する横道世之介、24歳。人生のダメな時期だからこそ出会えた寿司職人を目指す浜ちゃん、大学時代からの友人コモロン、美しきヤンママの桜子と息子の亮太、桜子の父親と兄貴の隼人等と共に、過ごしていく。まさに、「人生のダメな時期、万歳」「人生のスランプ、万々歳」の青春ドラマ。続編も読ませてくれる。桜子への二度のプロポーズを断られながら、めげずに付き合う人柄の良さ?、羨ましいと思えると同時に、心配になる、それが最後の結末に繋がる。何故か読んだ後に、心癒される、不思議な作品。 2022/09/30
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