内容説明
映画「王将」で知られる反骨の棋士・坂田三吉(一八七〇~一九四六)。その明治・大正・昭和三代にわたる破天荒な人生を村松梢風「二人の王将」、織田作之助「聴雨」「勝負師」、藤沢桓夫「阪田三吉覚え書」の名篇でたどる。巻末に北條秀司、内藤國雄らの随筆を併録。文庫オリジナル。 〈解説〉西上心太
【目次】
二人の王将 村松梢風
聴雨/勝負師 織田作之助
阪田三吉覚え書 藤沢桓夫
坂田三吉をめぐって
坂田三吉氏のこと 菊池 寛
坂田三吉 吉屋信子
坂田翁への手紙 北條秀司
一芸に秀でた風格を示す 吉田美代
名人・その世界 坂田三吉 内藤國雄
解 説 西上心太
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kokada_jnet
72
村松梢風の小説「二人の王将」(1952年)は「王将」の元戯曲および映画化版の創作部分を真似をした、二次創作のような作品で、単独での評価ができない。織田作之助の評論「聴雨」「勝負師」(ともに1943年)は阪田と木村・花田との対局から彼の将棋を分析する、超名作。藤沢桓夫「阪田三吉覚え書」(1965年)は晩年の阪田と交流があった著者による、評伝作品で、中村浩の著作(のちに『棋神・阪田三吉』として刊行)からの引用も多々ある。その他に菊池寛、吉屋信子、北條秀司、吉田美代(三吉の三女)、内藤國雄のエッセイも収録。 2022/01/04
がんぞ
3
尋常小学力も覚束ない駒の字以外は読めず「大阪名人」に推されての揮毫も辛うじて「三吉」「馬」だけ。師はなく本の棋譜で憶えたのではない我流だが、少年時分から相当の好棋家でも大駒引かせても敵うものがなかった/「千日手」を知らないで関根金次郎に「負け」て、生業の下駄造を辞め「将棋指しになる」と妻に宣言/関根は三吉の実力を認め朝日新聞の嘱託になるように計らった/有名な「銀が泣いている」の局面がない/関根は小野五平が69歳でもう長くないだろうから‥と言われて譲ったが二十二年待つことになった。名人を実力制と英断から百年2024/10/20
私的読書メモ3328
2
存命どころか現役だった頃から伝説と化していた将棋指し、坂田三吉にまつわる著名、重要な文章をまとめたもの。同時代の人間が書いたものさえ歴史小説と化していて、その実像はもはや時の彼方ですが、浪漫に満ちた存在ですね。しかし、現在の将棋の基準で考えると、来歴からしてそう強かったはずは無いのですが、しかし天野宗歩→その高弟→坂田→木村→大山→羽生→藤井と繋がっていることを考えると、問題にならないレベルということも考え難く、不思議です。2022/02/11
ゆき
1
面白かった。将棋を指したことがある人でないと、よくわからない所もありますがそう言う人はこの本読みませんよね。 阪田さん面白い人ですね。伝説の奇人とは実際にはどうだったかが、よくわかりました。 大変な人生でしたね。2021/12/08
Hisashi Tokunaga
0
解説の西上心太氏は「一時はその名を知らぬ者のなかった稀代の棋士、坂田三吉。その魅力に触れられる貴重なアンソロジーをお楽しみいただきたい」と記したが、楽しませていただいた。久しぶりのド・大阪の息吹を嗅いだ心地よさが後味に残った。下々から名人、金満家に到る将棋の歴史も味わった。織田作の大阪のインテリジェンスもそっと味わえました。2022/09/22
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