内容説明
母との別れ、孤独の旅、娘の死、光なき世界を凛として生き抜く女の美しさ。そして修行と戒律。雪国に唄う最後の瞽女(ごぜ)・小林ハルの凄絶なまでの生き様を描き、生命本来の力強さと輝きを訴える感動のノンフィクション。
●私の知ったハルさんは、瞽女という職業を通して、見事な生活者であった。そこには哀愁や感傷の入りこむ余地のない、ぎりぎりの厳しさがあった。いつも崖っぷちに立っているからこそ、潔く、外からは、突きぬけた明るささえ感じてしまう。(中略) 打たれれば打たれるほど、はね返す力を身につけ、逆境をも明るさに転嫁させてしまうエネルギー……。かつての女たちは、みなそれを持っていた。そうしなければ生きられないほど、とりまく環境が厳しかった証拠でもあるが、その中で磨きぬかれた美しさがあった。彼女たちを支えたものは何なのだろう。それは私の大きなテーマでもある。そうした女たちの典型を、私は小林ハルさんにみた。瞽女という苛酷な条件の下で、ハルさんは見事に花を開かせた。(あとがきより抜粋)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶんこ
33
いじめた相手が告げ口をしないと、どうしていじめた方はエスカレートするのでしょうか? ハルさんは我慢強すぎました。 そのように育てられた母親が立派と言うべきなのでしょうが、どうしても違ったのではと疑問を持ちました。 他の兄弟と同じようにして育てられたていたら・・と想像してしまいました。 我慢して我慢して、お国から褒賞を得て、幸なのか? 人様の世話になるなら、早く死にたいと願う気持ちに、もっと我儘になってと言いたいです。 瞽女の世界を知らなかっただけに、親方や弟子によって運命が分かれるのは辛かったです。2015/04/26
あおい
1
図書館本。壮絶すぎて暫し茫然自失。生後3ヶ月で失明~長命との占いで将来を案じた家族が瞽女へ。。。修行は年季21年、家からは食事代と稽古代を出してもらう、モノにならなかった場合は縁切り金を取られる為、文字通り石に齧りついて折檻されても耐えぬいた。。。鋼の女に成り得るための「素質」がありすぎました~78歳で瞽女唄の無形文化財、79歳で黄綬褒章を授与されて、2005年に105歳で大往生を遂げる、予言どおり。ハルさんの一生はWikiでダイジェスト版で読めます、壮絶ぶりに打ちのめされますので心して挑んでくだされ
あこぶ~
0
同じタイトルのドラマがあったよねー。と本の紹介をした知人に言われ、そうだっけ? と検索したら吉瀬美智子主演でコミック本もあった。そっちはハガネがカタカナだけど。古いドラマで、テレビっ子だった頃だけど記憶がない。てゆぅかいろんなことをどんどん忘れる(笑) 本書は最後の瞽女・小林ハルさんの実話。近々、瞽女の公演があり、観に行く視覚障害の人に教えてもらった本書だけど、検索したら瞽女を扱った本は山ほどあり、知識のない自分がお恥ずかしい。公演の日は午前中にマラソン伴走がある。しかもハーフだ。開演に間に合うかなぁ。。2019/05/02
guncrazy25
0
★★★★2019/03/28