内容説明
相手の意思や感情をないがしろにする性交(不同意性交)は性暴力である。
今の社会で最も一般的な性暴力のイメージは,「突然」「見知らぬ人に」「脅されて」被害に遭うという極めて狭いイメージである。しかし,性暴力の多くは「日常生活の中で」「身近な人から」「暴行も脅しもなく」起こる。また,夫婦や恋人,親子間でも性暴力は起こり,しばしば繰り返されて継続する。
本書は,「望まない性交」を経験した当事者にその経験を語っていただき,その「語り」を,同意のない性交が起こるプロセス,同意のない性交が被害当事者の人生に及ぼす影響,回復への道のりといった観点から分析した,一連の調査の結果をまとめたものである。
「語り」から分かった性暴力の加害プロセスには,大きく「奇襲型」「飲酒・薬物使用を伴う型」「性虐待型」「エントラップ(罠にはめる)型」の4つの型がある。それら四つのプロセスを詳述し,「被害当事者にとって,なぜ被害を認識したり相談したりすることが難しいのか」を解説する。
さらに,性暴力被害を受けた当事者が被害を受けた時およびその後にさまざまな体験を経て,どのように回復の過程を辿り,いまどのように生きているのか,当事者たちの語りを紹介すると共に,彼女たちを回復に導くもの,逆に回復を阻むものについて浮きぼりにし,支援のあり方についても提言する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちきーた
4
被害に遭った方の語りを聞いて怒りや悲しみが湧き上がってきた。彼女らを傷付けたことを許せない気持ちになる。男性たちを懲らしめたくなった。 「あなたは悪くない」と寄り添ってくれる人の存在は大事だと思う。2022/07/03
S
3
被害を受けた人に起きること(精神的不調、自責、二次被害など)はなんとなく知っていたが、加害がいくつかのパターンに類型化できることを意外に感じた。冒頭に単なる注意書きではなく、つらくなったらお茶飲んで好きなぬいぐるみを……と具体的な方法まで書いてあること、被害者の回復と社会への提案まで書かれているのはいいなと思った。2023/09/18
Bevel
3
エントラップメントとモノ化の区別が重要かもなと思った。エントラップメントは、上司-部下だけでなく、クラスの人気ものかどうかまで含めて利用される社会的権力の行使で「社会的抗拒不能」状態を作り出す。予兆行動を伴い、被害後は心理的依存が見られるので、加害者はなんか狙ってやってる感がでる。あとは、対等な場合によく見られる「モノ化」(外性器の観察など)は、むしろ、何も考えてない感がある。「モノ化」に権力という条件がそろうとエントラップメントするのかなと思った。あと、レジリエンスの話をまとめるのよいなと思った。2023/07/25
も
2
①性犯罪が起こらないようにする ・加害者をうまない ・身を守れる ②事件が起きた時に、事件を事件と認識でき、周囲に助けを求められるように ③最初に繋がった先が初動対応を間違えないように ④長期的に伴走支援できる先があること 各プロセスにおいて、様々な先への様々なアプローチが考えられるけど、課題としては、こんな感じなのかなぁ。2024/10/08
M T
2
症状?がめっちゃ自分に当てはまって、自分は典型的な性被害者だなと思った。その心理状態について解説してくれるので色々府に落ちる。また読みたい2021/09/15
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