内容説明
二〇世紀の前衛美術は「美しさ」を否定し、藝術を大きく揺さぶった。さらに二〇世紀後半以降、科学技術の発展に伴い、複製がオリジナル以上に影響力を持ち、美術館以外で作品に接することが当たり前になった。本書は、このような変化にさらされる藝術を、私たちが抱く素朴な疑問を手がかりに解きほぐし、美の本質をくみとる「美学入門」である。増補にあたり、第九章「美学の現在」と第一〇章「美の哲学」を書き下ろす。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
74
美学を歴史的変遷もふまえて紹介している本。 ルネサンスの頃から現代の例えばポップアートの作品紹介やそれに関する考え方の解説が精神的・哲学的に語られる。芸術を従来の伝統的な作品のみを選択するか、問題提起型の現代的な作品も含めるかと著者は問ます。自分全てを理解できるとも思っていませんが、現代に生きているからには現代的な作品も含めるべきだと考えます。2024/01/07
佐島楓
61
「です・ます」調で易しく書かれてはいるが、難しい。美学とは哲学である、という大前提しか呑み込まず入ったからか。美術品とされるものを前に、なぜ自分はこれを美しいと思ったのか、何に心を動かされたのだろう、という自問を重ねる一助にはなったかもしれない。勉強をしようとすると、私にとって知らないことがありすぎる分野だった。2019/07/27
ころこ
43
知人に分析美学を勉強しているひとがいて、著者の本を紹介されたので、まず、簡単な本書から読んでみます。美学は芸術哲学といわれるそうで、哲学の本を読んでいるのとほとんど変わりません。あとは、それを変奏して、大喜利するようなもののようです。サブカル批評をはじめ、文化論と似たようなスタンスでどんどん読んでいけそうな気がします。本書には2004年に出版された旧版がありますが、そのことを意識して、かなりの修正と加筆を入れています。従来の美術概念に軸足を置きつつも、伝統的な美術領域が崩れつつあることを意識しています。2019/11/03
trazom
33
まえがきで「本書で意図したのは、文字通りの意味での美学入門、即ち、これまで美学を学んだことのない人々を、この学問へと導く手引きとなるような著作」と記されているように、美学に関する各種の問題を、歴史的・現代的両面から網羅的に取り扱った総合的な著作である。特に、美的か感性的か、作品か商品か、スポーツは藝術か、永遠の藝術と現代的藝術、複製・コピーの問題など、提示された論点は示唆に富む。ただ、美学を説明するために藝術を論じ、藝術を説明するために美を定義するという論理展開は、トートロジーに思えてしまうのだが…。2019/09/09
呼戯人
18
国際美学連盟会長などを歴任した練達の美学者による現代美学の入門書。とりわけ増補版で付け加えられた第十章 美の哲学が出色の出来。ネハマスとダントーを取り上げ、幸福の約束としてのエロスを一方の代表とし、もう一方を救済としての慰めの美とする二つの対立に、著者自身の創造性に備わる美を付け加えて、美の総体とする。ダダなど美の破壊から始まった20世紀芸術から再び復活してきた美の思索の21世紀的特徴を見渡す。私たちの生活実感から解き明かしてくれるので美の謎も近づきやすくなった。2022/06/07
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