「歴史の終わり」の後で

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「歴史の終わり」の後で

  • ISBN:9784120055355

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内容説明

ベルリンの壁崩壊から三〇年以上を経た二〇二一年に、民主主義とその根底にある価値観を擁護しなければならなくなるとは思っていなかった。
国際政治がふたたび景気後退、軍備拡張、社会不安、恐怖に支配されるとは想像しがたかった。現在の権威主義的な傾向とナショナリスト的な保護貿易主義が束の間の現象として終わるのか否かは、わたしたち民主主義諸国の強さにかかっている。
民主主義諸国はいま直面している課題にうまく対処できるのか。できないのなら、民主主義諸国をより回復力あるもの(レジリエント)にするにはどうすればいいのか。
――本書編者 マチルデ・ファスティング

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

リットン

10
名前だけよく聞くフクヤマ、歴史の終わり、がなんなのか知りたいが今更歴史の終わりから読むのもと思ってたところ最近の本としてあったので読んでみた。政治や国際情勢以上に、人文的な分野に深く、人とは、国とは、国民とはといった問いを考える人なのだなと感じた。他者から認められる「承認」を重要と考えるのは、たしかにそのとおりだなぁと感じる。なにの専門家かとなると難しいけれど、広い範囲に造詣が深く、人の非合理的で人間らしい部分に着目する点は個人的にいいなと感じた2022/11/07

うえ

9
米国、露、ハンガリー等の変化を追っている「プーチンは自由民主主義を茶化している…ロシアは自由民主主義を信じていなくて、それをただ捏造し、でっちあげて、しばらく自由民主主義国のふりをしていただけだ。ロシアの最終的な目標は変化でも同化でもなく仕返し正当化だとクラステフとホームズは主張しています」「ヨーロッパに目を向けると、トランプの側にいる政治指導者は一目瞭然である。ハンガリーのオルバーン、イギリスのファラージ、フランスのル・ペン、その他の右派のポピュリストたち、それにトルコのエルドアン、ロシアのプーチン。」2022/07/02

Yuki2018

8
共産主義が歴史の終わりとする進歩的な知識人が沢山いた時代があったようだ。フクヤマの30年前の主張は、共産主義やファシズムではなく自由民主主義が歴史の終わりであるべきということ。人間の普遍的承認欲求(テューモス)を満たす政治体制だから、つまり人々は権威主義政府の下で暮らしたくないからというのがその根拠だ。本書は幅広い論点をおさらいしており、自由民主主義が危機に瀕する現代の問題を考えるヒントが詰まった一冊。著者の自由民主主義への信頼・大局観に共感はするが、現実がフクヤマが願う方向に進むかどうかは分からない2022/11/05

yooou

6
☆☆☆☆★ 扇動政治家でいる方が楽だから当面そういう連中はいなくならないだろう。なるほどねー。対話形式で進む本書はフクヤマの考えがより理解しやすい形になっていると思いました。2023/07/31

ばぶでん

3
歴史の終わり、政治の起源、政治の衰退、アイデンティティと著者の本を読んで、いくらか理解していた気になっていたが、実は全く理解していなかったことが判っただけでもこの本を読んだ価値があった。歴史の終わりとは事実としてではなく規範として言おうとしたことを今更ながら理解できたし、今の時代の(従来型の右派や左派の区分より)アイデンティティの重要性にも納得できた。インタビュー形式で著者の意図を敷衍してくれたのがとても参考になった。本来なら前記著作全部を再読すべきなのだろうが、せめてこの本だけでも読み直したい。2023/07/06

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