台湾で日本人を祀る - 鬼(クイ)から神(シン)への現代人類学

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台湾で日本人を祀る - 鬼(クイ)から神(シン)への現代人類学

  • ISBN:9784766428124

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内容説明

記憶の媒体としての「日本神」を読み解く
台湾には、かつての支配者を信仰対象とする廟や祠が多数存在する。本書では、これを「日本神」と名付け、民間信仰に埋め込まれた植民地経験・戦争経験と民衆の歴史認識や、新しいメディアを通した観光化の中で生成する「日本神」像を探る。

目次

まえがき
序章 台湾の民間信仰と日本神(三尾裕子)
第1部 メディアと観光の中の日本神
第一章 英霊と好兄弟のあいだ――メディア言説、現地の実践、新たなコミュニケーショ
ン(藤野陽平)
第二章 台湾の日本神をめぐる信仰と観光――高雄の保安堂における歴史の選択と新
たな展開(原 英子)
第2部 民衆の記憶と日本神
第三章 田中綱常から田中将軍への人神変質――民族・国家の境界を超える民衆史
学(林 美容・三尾裕子・劉 智豪(五十嵐真子・三尾裕子訳))
第四章 植民地経験、戦争経験を「飼いならす」――植民地・戦争経験の記憶の媒体と
しての日本人の霊魂(三尾裕子)
第3部 台湾の在来宗教信仰と日本神
第五章 廟神の出自により儀礼に差異は見られるか
――台湾の日本神を祀る廟と中華神を祀る廟における儀礼・祭祀の比較(山田明広)
第六章 台南市内における日本人の神々――主に航空事故に起因する事例から(陳 梅鄕)
第七章 漂流物が神となる――日本神の外来性解析(林 美容(五十嵐真子・三尾裕
子訳))
補章 日本神信仰と出会う――民族誌映画撮影の経験と視点(遠藤 協)
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さとうしん

25
台湾の廟で祀られる植民地統治時代の軍人など「日本神」に関する論集。彼らの多くが何らかの怪奇原書をきっかけとして神として認知され、神としては格の低い陰神であり、廟の主神ではなく、ギャンブルに霊験を発揮し、中には信仰が廃れつつあるものも存在するなど、そのあり方は日本側の認識とかなり齟齬があるようである。一方で日台友好、観光誘致などの思惑から台湾側かせ日本側の認識に合わせる動きもあるようで、信仰として現在進行形で推移しているのが面白い。2022/11/01

Toska

16
台湾で今も神として祀られている日本人(軍人や警官等)。いかにも政治化されそうなテーマだが、正直そんなことがどうでもよくなるほど奥深く豊かな台湾民間信仰の世界に魅了される。戦死など異常死を遂げた者は鬼(クイ)となって祟るが、祀れば神として福をもたらす。ただしこれは格の低い陰神であって、神の世界で修行することにより正神に昇格する。そして、日本神のほとんどはこの陰神であるという。彼らは台湾の神々の世界に迎え入れられ、その一員として息づいているのだ。土俗的な文化が却って軽々と国境を越えてしまう痛快さ。2025/03/02

takao

2
ふむ2022/09/04

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