人は死ねない

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人は死ねない

  • 著者名:奥真也【著】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 晶文社(2022/06発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784794973054

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内容説明

医療未来学が描く「老い」と「死の未来」
人間と死の関係は、今まさに歴史的転換点を迎えている

寿命が延びて、死ななくなるというのは、大問題だ。 納得のいく死に方を考えるよりも、定年退職後、
30年、40年を一体どのように生きればよいのか。 生き方の根本を大改革しなければならない。
――田原総一朗さん推薦!

AI診断、ゲノム編集、手術支援ロボット、人工臓器、予防ビジネス……医療が完成形に近づき、人間が本当に120歳まで生きられる時代がすぐそこまでやってきた。しかし問題は、誰もが健康な状態で長生きできるわけではないということ。超長寿時代は、一人ひとりの人生の時間が長くなる一方で、体に致死的でない小さな不調を抱えながら生きる人が大量に増える時代でもある。そのとき世の中は?個人の生き方は? 死のあり方は?
最先端の医学研究や医療予測に詳しい著者が、未来の医療のあり方とそこに生じる問題点を提示しながら、超長寿時代の死とは何かを考えてゆく一冊。

【目次】
第1章:あらゆる病気は克服されていく――人生120年が現実味を帯びる現代
・病気の克服が「生のあり方」を変え、「死のあり方」を変える ・人類が感染症の脅威から解放される日 ・20世紀の半ばから、たたかう相手はがん・心疾患・脳疾患に ・がんや神経難病も未来には克服される ・人工臓器も実現しつつある ・現代人の体力向上、救急医療体制の充実も「死なない」要因に ・遺伝子解析技術とセンシングで、予防医学がますます進歩する ・AI診断によって「誤診」が激減する ・人生100年、120年が現実味を帯びてきた
未来のストーリー:100歳まで生きることなどめずらしくも何ともない

第2章:健康とお金の関係はこう変わる―─経済力が「長生きの質」を決める
・「多病息災」で、今以上に医療費がかかる ・老化を治療できても医療費はかかる ・医療費が「全額自己負担」になる可能性も ・経済力が「長生きの質」を決める? ・人間拡張技術によって老化がハンディでなくなる ・「死」は「幸せな区切り」になりうる
未来のストーリー:経済力の有無で長生きの質に格差が生まれる

第3章:ゆらぐ死生観─―自分なりの「死のあり方」を持つ
・シナリオどおりに生きられると「生のあり方」が変わる ・「典型的な死のプロセス」も変わっていく ・現代医療は患者さん個人の背景まで考慮できない ・安楽死について ・医師は医師として生きている ・同調圧力、自己決定、自己決定権 ・新しい「死のあり方」に制度が追いついていない ・死生観を持つのは誰なのか ・自分なりの「死のあり方」を持ち、納得する死を迎える
未来のストーリー:100歳を超えた私の「お迎え」はいつくる?

第4章:誰が死のオーナーか─―死を取り巻く問題を考える
・「生」に自己決定権はなかったが「死の自己決定権」はある ・「脳死」の定義はあるのに「死」の定義はない日本の法律 ・延命治療は「一度始めたらやめられない」は本当か ・「人間医師」はどこまで責任を負わされるのか ・医療に関する「意思表示」が不可欠な時代に ・未来には「積極的な死」が増えてくる? ・すでに安楽死が法制化されている国や地域も ・「死なない時代」に、安楽死は「一切れのパン」となる ・死体は誰のもの? 臓器提供をめぐる問題 ・高齢者に歴史あり
未来のストーリー:安楽死が法制化された未来

第5章:未来の死を考えるための20の視点
視点1 肉体がなければ、衰えることもない
視点2 永遠の生:悪魔との取引
視点3 医師を呼ばない息子の妻への怒り
視点4 生涯独身の私は、独りで死んでいくのか
視点5 人生をともにするパートナーと同じ気持ちを共有しているか?
視点6 死の定義をあなたが決める立場ならどうする?
視点7 臓器提供が「推定同意」になる前夜の夫婦の会話
視点8 有限な貯金の使い道:高度な治療を取るか家族の団らんを取るか?
視点9 死の間際までハイテクを使えるなら、何を使う?
視点10 どんな医療制度を望むか
視点11 子どもが脳死になったらどうするか
視点12 早期定年の企業に息子が就職しようとしてら、親として反対するか
視点13 自分の死について、医師にどんな役割を担ってほしいか。またその医師は具体的に決まっているか?
視点14 死期を明確に早める新種の薬が開発された。不治の病に冒されているあたなたはどうするか
視点15 治療や延命に関する意思表示の情報を更新していなかった。どうするか
視点16 そして誰もいなくなったら、自然に任せるか
視点17 サルコを買った彼
視点18 お迎えサービス
視点19 価値のある人生なんて決められる? 命の再配分は冒 ?
視点20 何歳まで生きたいか

おわりに――死のデザインという提案
「小霜君」について――むすびにかえて

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

104
著者は東大卒の放射線科医で医療未来学者。時代と共に変遷する「死」の概念について、今後の医療の進歩から予測される未来の死を考える視点を提示している。現在日本の100歳以上の高齢者は8万人を越えた。国民医療費は43.6兆円で国民所得の約10%を占める。医療は遺伝子解析技術とセンシングとAI、救急医療の充実で更なる発展が予測される。一方死に関して世界的に安楽死を合法化する国や地域が増加している。ただ死は自分だけのものではなく、特に日本ではデスハラスメントの危険性も考えられる。安楽死マシーン・サルコを初めて知る。2023/03/11

きゃれら

18
医療の発達により、寿命前の感染症死がとても少なくなっていく中で、死を予測、計画できるものとし、デザインすべきだという本。医療や周辺科学技術の発達のファクトや未来予想は読ませる。ただ、読者の自分は死を筆者のように捉えることは平常時は原理的にできないと考えている。キューブラー・ロス「死の瞬間」の受容の4段階は古い、というが、僕は、全然古くないし決して古くならないと思う。いつかは死ぬことを前提に生きるのは、良き生き方をする良い方法とは思うけれど、いつ死ぬかを決めて生きるのとは違うと思う。それ、当たらないし。2022/07/12

乱読家 護る会支持!

7
あらゆる病気は克服されて、人生120年が現実味を帯びるようになってきました。 しかし、何らかの科学技術によって命を繋ぐことができる社会になれば、経済力高いほどより快適に生きることが出来、経済力が「長生きの質」を決めるようになります。 当然、我々の死生観は揺らいでいくと思います。 自分が「死にたい」と思わなければ、いつまでも生き続けなければならなくなるかもしれない近未来。 僕は、苦しまずに命を終えることが出来る「安楽死」を権利として法で認めて欲しいと思います。2022/10/01

清水勇

4
著者は今後の医学の発展にでガンやALS等神経難病含め殆どの病気が治ると期待でき、これ迄予測不可能だった「死」が予測可能になるつつあるという。日本人の平均寿命が長くなり皆高齢で死ぬ、即ち「死」は予測可能になった。しかし医学の進歩で多くの病気が治療できるというのは、人を物としか見ない医師の傲慢さを強く感じた。それでも著者が後半で力説するように「死」が予測可能になったからこそ、私達がこれまで置き去りにしてきた「死」をどのように迎え自分の人生をどう生き切るじっくりと考えるべきだとすることは強く共感した。 2022/10/08

Go Extreme

3
あらゆる病気は克服―人生120年が現実味: 人工臓器 救急医療体制の充実 遺伝子解析技術とセンシング→予防医学 健康とお金の関係: 「多病息災」→医療費 医療費が「全額自己負担」になる可能性も 経済力→長生きの質 人間拡張技術 「死」≒「幸せな区切り」 ゆらぐ死生観―自分なりの「死のあり方」: シナリオどおり→生のあり方が変わる 同調圧力、自己決定、自己決定権 誰が死のオーナーか: 死の自己決定権 高齢者に歴史あり 安楽死が法制化された未来 未来の死を考えるための20の視点 死のデザインという提案2022/07/18

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