サスペンス小説の書き方

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サスペンス小説の書き方

  • ISBN:9784845921133

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内容説明

パトリシア・ハイスミス曰く、「あらゆる物語には、サスペンスがある。」

鋭利な観察眼と執拗な心理描写、深い洞察と巧みな構成で世界中の読者を魅了するサスペンスの巨匠が、「書くこと」と「仕事にすること」についてのノウハウを明かす。

「私は物語のきっかけになるような日々の出来事からこの本を始めている。作家はそこから進んでいく――まず作家が、次に読者が動き出す。芸術はいつでも、おもしろいことや、数分ないし数時間を費やす価値があると思えることを語って、読者の気を惹けるかどうかの問題なのである。」(本文より)

鋭利な観察眼と執拗な心理描写、深い洞察と巧みな構成で多くの文芸ファンをも魅了するサスペンスの巨匠、パトリシア・ハイスミス。「この本はハウツー式の手引き書ではない。どうすれば成功する本、つまり読みやすい本が書けるかを説明することは不可能である」と本書冒頭で確言する著者が、自らの「小説を書くことと、それを職業にすること」についてのノウハウを明かした、文章読本・執筆論。

本書は、1966年に初版が刊行され、その後なんども版元を変えながら現在まで熱心に読み継がれてきたハイスミスの隠れた名著。長編・短編集を合わせ30タイトルほどある作品のほぼすべてが邦訳されている作家の唯一の小説指南書であり、今回が待望の初邦訳となる。

何が「小説を書くこと」を専門的職業としうるのか、なおかつ何がそれを刺激的で生き生きとしたものにするのか。同時に、絶えず失敗の可能性を秘めたものである「執筆」において、失敗から学べることとはなんなのか。ハイスミスは本書において、サスペンス小説の重要な要素をプロセスに分けて解説し、アイディアの芽、書き始め、プロットの作り方、行き詰まり、初校、改稿など、自身の小説から豊富な実例を示しながら余すところなく説明していく。自身の経験から成功や失敗についても包み隠さず語られ、そのキャリアに基づいた実践的なアドバイスは、失敗や行き詰まりを経験した作家志望者の心を必ず捉えるだろう。ミステリにとどまらず、全てのジャンルの小説家志望者の必読書!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

115
作家による小説の書き方に関する本は、クーンツのような純粋ハウツー本かキング風の半自叙伝かに分かれる。作品を完成させるまでのプロセスを、ハイスミスが自らの経験を踏まえて語る本書は両者の中間に位置する。アイディアからノートの取り方、実際の執筆と行き詰まりの苦しさ、さらに作品の売り込みや編集者とのやり取りまで、ひとつの小説を書き上げるまでの人としての息遣いが伝わってくる。またサスペンスのジャンル作家扱いに反発しながら、より質の高い作品を書くために苦闘するハイスミスが長く読まれる作家となった理由が理解できるのだ。2022/04/23

ケンイチミズバ

99
テクニックや作家の方程式ではない。作品を作り出すのは個性であり、それは自分の中にあるもの。誰にでもできる、日常でメモを持ち歩く。旅先で遭遇した出来事が種になる。書き溜めたメモは後から読み返すと別々の出来事でも繋がりが見えて来たりもする。それが創作。完全なアリバイの作り方。繋がりのない二人がそれぞれの殺したい相手を交換し殺人を実行する。でもどうやってお互いが交換殺人を持ちかけるのだろう。そこが作家の力か。作家の頭の中が知りたくて読んでみた。子供ながら「太陽がいっぱい」は手に汗握りながら見た。作家の力だな。2022/04/20

コットン

80
ご存知パトリシア・ハイスミスがサスペンス小説について時には自作を例に出し実践的に創作について語っている本で面白い。冒頭の方では『アイデアの芽』:思考やアイデアやムードを喚起するならメモする。『勢いと確信』:「語らずにはいられな」と言いたくなる感覚になって書き始める。など簡単で適確なアドバイスもいい。2022/11/17

ワッピー

41
読み友さんの感想から。1966年の出版以来、版を重ねてきたハイスミスの創作論。単なるノウハウ集ではなく、ハイスミスと一緒に歩きながら、彼女が経験した苦労や推敲から完成へ至る喜び、出版社とのやりとりなど作品のできるプロセスをのぞき見しつつ、またその完成形を楽しむことができるエンタメ作品でもあると感じます。アイディアの発芽、書き出し、改稿、行き詰まり、出版社の意向を汲むことなど小説の誕生にかかわる要素がこんなにも面白いとは!本書を手に取ったおかげで、ハイスミス界を探求しようという気になりました。おススメ!2022/08/14

くさてる

21
ハイスミスを読み返したくなった。彼女の創作に関するノートという感じの内容なので、いわゆるHOWTO本を期待すると物足りないものがあるかも。それでも実作者ならではの具体的な創作へのこだわりや悩みは興味深く面白かったです。2022/06/12

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