内容説明
西郷隆盛、生存確認!
勅命を受けた中村春吉はシベリアへ向かう!!
極寒の地で快男児を待ち受けるは恐ろしき猛獣共と骸骨監獄、幽霊監獄!
西郷隆盛、生存確認! その吉報を受けた明治天皇は、すぐさま西郷救出の勅命を下す。シベリアの奥深くに囚われているという、かの豪傑を助け出すのは常人には不可能である。そこで白羽の矢が立ったのがバンカラの権化のような男、我らが中村春吉である。しかし、シベリアで彼を待ち受けるのは、恐ろしき猛獣たちと骸骨監獄、幽霊監獄――。果たして中村春吉は、幽閉の身となっている西郷隆盛を救出できるのか!? シリーズ最終作、ここに文庫化。
エッセイ「中村春吉波瀾の人生」、未収録短篇4篇を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
65
維新の英傑西郷隆盛は生きていた。露西亜の奸計に陥り、シベリアの監獄へと幽閉された大英雄、それを救出せんとするは快男児中村春吉。という粗筋からわかるように本書は明治の冒険小説のパスティーシュとなっています。そのためか現在の冒険小説、スパイ小説に見られるような緊迫感はほぼ無く。主人公の進む先に手掛かりや手助け、仲間になるものが連なりその様はまさに無人の野を行くが如し。本来なら噴飯ものだろうけど、それに明治の冒険小説という衣をまとわせると唯一無二の作品になる不思議。どこか昔の駘蕩たる雰囲気を漂わせた一冊でした。2024/02/19
oldman獺祭魚翁
34
ヨコジュンの壮大なホラ話が刊行された。 『幻綺行』『大聖神』に続く第三弾。 今回は風雲児中村春吉が、冒険家として自転車で世界一周をする前日談。 明治三十四年。 恐れ多くも天皇陛下の勅命を受けて、シベリアの奥地の監獄に幽閉された西郷南洲翁の救出に向かうとという冒険談。パパンパン! 2022/12/22
冬至楼均
2
光栄版を読んでいた筈だけど、最後までストーリーを思い出さなかった。 あの当時はシリーズを読んでいなかったので、主人公に入り込めなかったのだろう。SF要素(つまり作者の持ち味)が入っていない所為か、でなんとなく気が抜けた炭酸の様だった。2022/12/14
みやったー
2
中村春吉シリーズ最終作。少年少女の心震わす冒険活劇といったところ。見どころは中村と登場人物たちが機転を利かせて難局を脱する展開かな。余談だが先日入ったバーでテーブルに置いていたら、一眼見たバーテンさんに内容について聞かれたという表紙の引きの強さ。このタイトルと見た目は気になるよね2022/10/18