ちくま新書<br> 建築家の解体

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ちくま新書
建築家の解体

  • 著者名:松村淳【著者】
  • 価格 ¥1,056(本体¥960)
  • 筑摩書房(2022/06発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480074881

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内容説明

『建築の解体』の刊行から五〇年弱、後期近代の時代にあって、安藤忠雄や隈研吾に代表される従来の建築家のイメージは、見直しを迫られている。ブルデューの理論を用いて、建築家という職業がつくられていくプロセスを描写するとともに、解体していく建築家像の軌跡をたどる。フィールドワークの知見を盛り込み、「街場の建築家」という今後の可能性を最後に示す。

目次

序章 建築家を書く
1 本書の特徴
社会学的研究テーマとしての建築家
個人的な関心という執筆動機
2 建築家とはだれか
日本における建築家の起源
現代日本における建築家とは
建築家はなぜ存在しつづけていられるのか
変わりゆく建築家
3 「建築家の解体」とはなにか
タイトルの意味
本書の構成
第一章 建築家とはなにか
1 社会学で建築家を理解する
ブルデューの理論
〈界〉とはなにか
芸人と〈お笑い界〉
M‐1の役割
芸人の資本と〈ハビトゥス〉
資本の四つの類型
2 建築家界という界について
建築家界のしくみ
建築家界の境界
建築家界に入るには
3 建築家のハビトゥス
賭け金としての作品
安藤忠雄のデビュー作
表現とハビトゥス
4 タイムスリップして父に言いたいこと──まとめにかえて
ハビトゥスを身につけることの必要性
第二章 建築家をつくる大学教育
1 大学の建築教育は実用的なのか
大学での建築教育、その潜在的効果
大学教育の意味
2 基礎教育を通したハビトゥスの体得
教育の仕組み
筆者の経験から
審美眼を養う
別荘を設計する
3 講評会という教育装置
徒弟的教授法から講評会へ
講評会という教育装置
講評会という場の持つ意味
教え込みの失敗
4 建築家らしさとは
大学で何を身につけたのか
建築界のサポーター
足かせになるハビトゥス
建築家とそうでない者
5 まとめ
補論1 安藤忠雄伝説の秘密を解く
1 サクセスストーリーの裏側
ミッシングリンクを埋める
2 差別化の戦略
独学とアルバイトで建築を学ぶ
世界旅行
3 資本と賭け金
社会関係資本をつくる
〈賭け金〉をつくる
4 まとめ
第三章 建築家と住宅
1 〈賭け金〉としての住宅
パドックからカラオケへ
住宅の神格化
戦後の住宅史
小住宅の名作
2 住宅産業の誕生と建築家
冷めていく住宅への熱
住宅産業の成長
3 住宅における建築家の役割は終わったのか
住宅という食い扶持
住宅は芸術である?
篠原一男の影響
都市に住まうという主題
安藤忠雄の解答
4 過激化する住宅作品
野武士の世代
野武士世代の住宅作品
石山修武の「幻庵」
伊東豊雄の「アルミの家」
安藤忠雄の「住吉の長屋」
パドックの論理
隈研吾の警告
5 まとめ
第四章 後期近代と建築家の変容
1 後期近代とはどのような時代か
本レースの消失
建築におけるポストモダン
後期近代の脱埋め込み
2 ハコモノ化する建築
時間と空間の分離
空間と建築家
ハコモノの登場
建築敵視の風潮
3 一九七〇年──大阪万博とシンボルの転換
お祭り広場と太陽の塔
建築デザインの失効
オウム真理教のサティアン
4 一九九五年──阪神・淡路大震災と建築家
建築家の無力感
復興後の景観
坂茂の紙の建築
5 東日本大震災と建築家
伊東豊雄のジレンマ
アーキエイドの活動
「顔の見える」専門家として
6 まとめ
補論2 隈研吾──後期近代的建築家像
1 プロローグ
2 一九八〇年代──建築家像の模索
批評家としての出発
新進気鋭の若手論客
批評家から建築家へ──「M2」の発表
3 一九九〇年代──反オブジェクトと地方
「建築を消したい」という願望と形態の否定
脱コンクリートとしての自然素材
隈研吾と地方
4 二〇〇〇年代以降──新しい有機的建築の追求
手法の変化
「生物」というキーワード
5 まとめ
第五章 建築家の解体と街場の建築家
1 解体される建築家の職能
建築家のフロンティア
建築家の解体
2 起業家としての建築家──谷尻誠
異質の存在
アトリエ事務所を断念
リスクある独立
建築家界の外で
3 建てない建築家の登場
コミュニティデザイナーの職能
マルヤガーデンズのプロジェクト
場所をつくる
4 街場の建築家たち
ボトムアップ型のまちづくり
塩屋の場合
街場の建築家
類型
街場の建築家のリアリティ
5 専門家のゆくえ
石山修武の慧眼
素人、玄人関係なく
6 まとめ
あとがき

参考文献(五十音順)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

りょうみや

24
著者は建築士でもある社会学者。設計する「建築士」に芸術的要素を加えた「建築家」の成り立ちをブルデューのハビトゥスの枠組みから論じている。とてもユニークな内容。明治以降の建築家と建築の社会学的な近代史でもある。タイトルの通り芸術的な建築家はだいぶ前から解体されて絶滅危惧種。意匠から施工にお重みを置いた「街場の建築家」が生きる道ではないかという主張。意匠(デザイン)に憧れて建築学科を目指す高校生が読んでおいてほしい一冊。2023/01/20

ネムル

9
「建築家」の複雑なスタンス、あるいは震災以後特に強まったように思う「建築家」への違和感が、ブルデューの理論によって適格につかめるようになった。建築が華やかなりし時代のイメージがもう立ち行かない今、一部集中的に隈研吾が持て囃されるような、業界の先細りももっと突っ込んでほしかった気がするが。2022/06/21

takao

2
ふむ2022/12/08

ftoku

2
建築家とは何か。本書では建築家界というゲーム盤上で、建築作品などを掛け金として陣取り合戦のように卓越化する情念(エートス)を共有し内在させた人物として語られる。大学の建築教育では、技術以上にエートスを涵養する場として機能している。建築家界での卓越化戦略(※セルフブランディングと言い換えてもいい)の紹介として、安藤忠雄、隈研吾が紹介されていた。前著では黒川紀章。近年の事例として谷尻誠、山崎亮が紹介されているが、建築家界での卓越化の優先度の低さが象徴的であり、建築家像の解体と変容が想起される。2022/06/30

Go Extreme

1
https://claude.ai/public/artifacts/acf881b3-f589-4275-bc6d-5b99ab221b99 2025/06/26

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