創元推理文庫<br> 彼は彼女の顔が見えない

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創元推理文庫
彼は彼女の顔が見えない

  • ISBN:9784488179083

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内容説明

アダムとアメリアの夫婦はずっとうまくいっていなかった。そんなふたりは、カウンセラーの助言を受け、旅行へと出かける。ふたりきりで滞在することになったのは、スコットランドの山奥にある、宿泊できるように改装された古いチャペル。彼らは分かっている。この旅行が結婚生活を救うか、とどめの一撃になるかのどちらかだと。だが、この旅行にはさまざまな企みが隠されていた――。不審な出来事が続発するなか、大雪で身動きがとれなくなるふたり。だれが何を狙っているのか? どんでん返しの女王が放つ、驚愕また驚愕の傑作サスペンス!/解説=村上貴史

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちょろこ

127
ざわめきが続く一冊。離婚秒読みのアダムとアメリア夫婦。関係修復最後のチャンスに選んだのは山奥の古いチャペルへの招待旅行。天候不良、二人の不協和音、相変わらず限られた二人での視点、挿入される手紙という手法で読み手を深く誘い込む技巧にハマる。そして不審な数々の出来事と不審な人物。一体何が起きてるのか、誰かの罠か、ざわめきが絶えず続くこの時間はこてこてのザ・サスペンスという感じでたまらない。今回はこう来ましか!終盤からラストまでの驚き、欺き、そしてざわめきの連鎖はお見事。個人的に白い兎が出てきたのがうれしい。2022/08/12

とん大西

123
うわ〰️!その転調!序盤から中盤に至る気だるい流れがウソのよう。二重三重の畳み掛けの後の物語のオーラはもはやホラー。倦怠期のアダムとアメリアの週末小旅行。欠乏していたのは愛情だけではない。相貌失認…生まれつき相手の顔を覚えることができず、そのハンデ故重い十字架を背負ってきたアダムの苦難。が、彼は脚本家として世に出た。大物作家ヘンリー・ウィンターにも認められブレイクを果たした。彼と彼女の思惑をも呑み込むブラックウォーター・チャペル。夫婦の愛情は…ん?すさまじいどんでん返しに感嘆。邦題のタイトルも効いてます。2023/01/14

アキ

112
長年の夫婦の間に存在する嘘と真実、アダムとアメリアの双方からのモノローグで互いの関係性が徐々に見えてくる。吹雪の中、スコットランドのハイランド地方にドライブし、辿り着いたのはブラック・ウォーター湖の辺りのチャーチだった。毎年の結婚記念日に贈り物と今年の単語を含んだ手紙を積み重ね、現在の状況にフォーカスが合ってくると、驚くべき事実が明らかになる。相貌失認のアダムには妻の顔も判別できない。何重にも張り巡らされた伏線に、終盤は展開が目まぐるしいほど。騙し騙されの夫婦の話、他人事だと思ううちが幸せなのかも。2022/10/13

ケイ

110
そういう事だったのか。彼ら自身が明らかにしてくるまで分からなかった。 何の秘密を抱えているのだろうと気になっていたのだが。。。誰も嘘はついてはいないのよね。時間がある時に一気読みすることをおすすめ。2023/07/03

アン

102
ある夫婦は関係を修復するため招待された旅行へ繰り出す。滞在するのは人里離れた山奥の改装された古いチャペル。夫は脚本家で誰の顔も認識出来ない相貌失認の疾患を抱えている。吹雪のため滞在先で身動きが取れなくなること、結婚記念日ごとに綴られる密やかな手紙 謎めいた人物などが不穏な雰囲気を醸し出し、どんな真相が待ち受けているのか知りたく、ハラハラしながら引き込まれていく。登場人物達の心理描写が精妙で、それぞれのエゴや思惑が絡み合う人間ドラマのよう。終盤は意表をつく展開で緊迫感のある心理サスペンスです。 2023/09/03

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