内容説明
博多の唐坊で、胡人の父から医術を学んだ娘・瑞蓮が京の都へ来て一ヶ月。女医(薬師)として、後宮の姫たちから信頼を得た瑞蓮は、難病や女性ならではの病、悩みに応えるべく奔走していた。しかし姫や女房たちは祟りや呪詛を恐れることが多く、その一方で、最大の関心事は、誰が次期東宮の子を産むのかということ。そんななか、帥の宮の妃・大姫から不妊の相談を受けた瑞蓮、そして共に働く若き医官・和気樹雨は……。治療法について悩む瑞蓮に対し、道を示してくれたのは、博識な施薬院の医官・丹波康頼、そして意外にも、陰陽寮の学生で瑞蓮を慕う安倍晴明だった。最初は御所に馴染めなかった瑞蓮だが、しだいにそこで自分の居場所を見つけていく。若き女医が医学の知識を駆使して後宮で起きる様々な事件に立ち向かっていく、平安ミステリー。「平安あや解き草紙」シリーズが人気の著者による「お仕事小説」第二弾! 文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
坂城 弥生
40
不妊はいつの世も女性を苦しめてきたんだなぁと。2023/02/09
はなりん
32
シリーズ2巻。呪いや加持祈祷が当たり前に信じられている平安時代で、異国の血を引き医術を学んだ瑞蓮が宮廷医官に成り立ての樹雨とまだ学生の阿部晴明達と病や未病の貴族達と向き合っていく。樹雨がいい感じに成長してきて、晴明もいい所で絡んできて楽しい。大きな事件があるわけではないですが、この時代の医術に対するあり様がわかって興味深い。東宮がこちら寄りになったので、次は主上かしら?2023/05/04
らび
32
当時の医学は東洋医学で片付けられないと呪詛が当たり前に考えられていた。いつの時で有れ帯状疱疹や面皰、婦人病等こじつければ何とでも判断されてしまう。この時代の思考として驚いたのは「子供が出来ないのは女性のせいだけとはいえない」つまり男性の不妊もあると言っている。今でいう女医さんである瑞漣の発想の転換、中々見事なものです。当たり前だけど今とは違う知識が大きなウェートを占めている。まさに謎解きの診療です。2023/04/02
がんも
29
シリーズ第2弾、この時代のお医者さんは大変です、顔色・脈・症状から何の病か推察して薬を処方しないといけないんだから、そして手に負えないことは呪詛だなんだと、今でも大変な妊娠・出産、この時代は今以上に命懸けの事なのに、子が出来ないことを責められ、男の子を産めと迫られる、いつの世も女性は生きにくい世の中と言うことか……続きが楽しみなシリーズ。2022/07/05
よっち
28
博多の唐坊で胡人の父から医術を学んだ娘・瑞蓮が京へ来て一ヶ月。難病や女性ならではの病、悩みに応えるべく奔走する彼女が帥の宮の妃・大姫から不妊の相談を受ける第二弾。最初は御所に馴染めなかった瑞蓮に道を示してくれた施薬院の医官・丹波、陰陽寮の学生で彼女を慕う安倍晴明。誰が次期東宮の子を産むのかが姫や女房たちの最大の関心事という状況で不妊問題に取り組む展開で、冷静に状況を見極めて対処しながら、問題の本質から目をそらさずに、身分にも忖度せず言うべき相手にはしっかり言ってみせる彼女のありようがなかなか印象的でした。2022/07/27