服部卓四郎と昭和陸軍 - 大東亜戦争を敗北に至らしめたものは何か

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服部卓四郎と昭和陸軍 - 大東亜戦争を敗北に至らしめたものは何か

  • 著者名:岩井秀一郎
  • 価格 ¥950(本体¥864)
  • PHP研究所(2022/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569852249

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内容説明

ノモンハン事件、大東亜戦争開戦、ガダルカナル戦……。国家の命運を左右する参謀本部の中枢に居続けた作戦参謀「服部卓四郎」。戦時下では、参謀本部の田中新一や辻政信、そして東條英機や石原莞爾らとどのように関わっていたのか。帝国日本が敗戦への道を突き進んでいく過程で何が服部らエリートを突き動かしたのか。戦後はGHQに庇護される立場となり、『大東亜戦争全史』をまとめ上げたが、その胸中に去来した思いとは。そして、この男の生涯と折々の言動を丹念に追うことで見えてくる日本軍の失敗の根因とは――。デビュー作『多田駿伝』(小学館)で第26回山本七平賞奨励賞を受賞した気鋭の著者による渾身の書き下ろし。 【目次】●序章 戦後史に消えた作戦参謀 ●第一章 エリートコース ●第二章 ノモンハンの蹉跌 ●第三章 大東亜戦争はじまる ●第四章 参謀本部作戦課長の「敗戦」 ●第五章 生き残った参謀――「服部卓四郎」の正体 ●終章 昭和陸軍の象徴として

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

56
ノモンハンの時の関東軍参謀で、その後大本営作戦部で重要な地位を得ていた人物の評伝。どうやら人当たりが良く処世術にはたけた面があったようだが、戦争に関してはかなり強硬派の様子。辻とのコンビでその面が倍加した面もあるのかもしれない。ただ、本書に関しては、例えばガダルカナルの戦力逐次投入の是非は語られず、インパールもほぼ触れられていないなど、物足りなさもある。戦後の再軍備(戦術核武装)への考えなどは興味深かったが、しかしその頃の自衛隊批判(戦意不十分)を現代のウクライナと対比して書くのはいかがなものか。2022/08/20

CTC

12
6月のPHP新書新刊。著者は従前、服部卓四郎の事を「どうにも捉えどころのない人物」と感じていたが、その印象は本書執筆後「深まりこそすれ、薄れることはなかった」とあとがきに記している。著者すらそうなのだから、我々読者が本書によって服部の実像を識られるわけがない。とはいえ、服部の特異なポジションが浮き彫りになるのは確かだ。徴傭船問題で更迭されたと思いきや東條の秘書になるとか、復員してすぐにGHQの世話になるとか、そういう気持ち悪さは、私だけがなんとなく感じている訳ではないのだと確認できた。2022/11/10

ぽん教授(非実在系)

5
強烈なキャラである辻政信の相方程度に思われていた服部卓四郎に焦点を当てる初の本。服部は社交的性格、温厚で紳士的人柄、冷静で鋭い議論のできるインテリ的才能、適切に部隊を指揮し部下からも慕われるマネジメント能力を持ちながらもほぼ強硬派に与し的確なアシストをしてきた。それでいながらなかなか左遷されず戦中に東條、戦後にGHQと敵対した相手の懐にさえ飛び込むことに成功できる抜け目のなさもあるずるい男である。服部のしたたかさは正負両面共に学ぶべきところがあるのである。2022/06/21

toriarii

4
参謀本部作戦課にいながら、注目されることが少なかった人物の評伝。テーマをノモンハンと大戦初期と末期に絞り、人物も作戦課および服部と関わりがあった人物に絞ったためとても読みやすい。穏やかかつ処理能力が高い人物だったせいか、行く先々で重宝された一方で、肝心の作戦家としての能力不足と、柔軟性を欠く性質と、処世か本質か判断しかねる積極性のせいで日本を敗戦に導く一因を担った。部長以下参謀本部作戦課のメンバーは、公的な敗戦の責任を逃れたが、政治家及び陸軍OBの恨みからは逃れられなかった。堀栄三氏の父の批評が全てか。2022/10/04

くらーく

4
何か?って明確な解答は無いのかな?日本だから、陸軍だから、参謀本部だからかねえ。帯にあるように、日本の組織は会議で(いい加減疲れるまでやってぼーっとしたころに)意見の一致をみて、決めるから、誰が責任者か不明だものねえ。まあ、戦前の陸軍がそうだったかは知らないけど、声の大きさと粘り強さで決まった感はあるよね。田中、服部、辻だものねえ。絶妙な組み合わせよのお。 個人が無いのが、日本の強みであり弱みでもあるのだろうね。今も変わらないのでしょうな。それでいて、何かあると自己責任だったり。嫌な国ですな。2022/09/05

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