内容説明
僕が使者(ツナグ)だと打ち明けようか――。死者との面会を叶える役目を祖母から受け継いで七年目。渋谷歩美は会社員として働きながら、使者の務めも続けていた。「代理」で頼みに来た若手俳優、歴史の資料でしか接したことのない相手を指名する元教員、亡くした娘を思う二人の母親。切実な思いを抱える依頼人に応える歩美だったが、初めての迷いが訪れて……。心揺さぶるベストセラー、待望の続編!(解説・深木章子)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イアン
274
★★★★★★★☆☆☆『ツナグ』の続編となる辻村深月の連作短編集。物心付く前に家族を捨てた父を恨む俳優、戦国武将の真意を知りたい歴史研究家、亡き娘へある報告を秘めた二人の母、60年越しの再会を待ちわびる老人…。使者(ツナグ)として依頼人の願いを叶えていく歩美の成長が垣間見える一方で、家族ぐるみで懇意にしていた工房の大将が急逝した際の、その娘に対して取った彼の行動が深い。どんでん返しや伏線回収といったミステリ要素は控えめだけど、どれも心温まる優しい話だった。謝辞がこんなにも心に沁みた作品は初めてかもしれない。2022/09/10
mihya
189
前作のツナグから7年。社会人になった歩美。高校生のときは幾分ぶっきらぼうな感じがしたが、なかなか良い若者になっていて、使者をしながら歩美が成長していっている。 前作では同級生の件とかでモヤモヤしたが、今作は全編切なかった。どれも良かったが、「想い人の心得」が好き。3作目では帰国した奈緒と歩美がうまくいってると良いな。 唯一、がっかりしたのは、犬と会えないこと。多分、猫とも会えないんだよね。私がツナグで会うとしたら、黒猫のあの子だったんだが…。2022/08/07
昼寝猫
179
『ツナグ』の続編でそれから7年後の物語。見習いから正式の使者(ツナグ)になった歩美は高校生から社会人になっていた。今はまだ少々頼りないが、その名の通りゆっくりと着実に成長していく。どの短編も感動せずにはおれないが、特に「母の心得」と最終章の「想い人の心得」には泣ける。また前作よりも死者と繋ぐ設定の幅が広がっていて、そのあたりも存分に楽しめる。歩美くんにも一緒に歩んでいける人ができそうなので、今後の展開にも大いに期待が持てそうだ。2024/02/02
まさきち
178
ツナグの新しい続編と勘違いして読み始め、すぐに既読と気づきました。が、前回より依頼者と使者自身の気持ちの揺れに惹かれ、深く味わえたような気がして、大いに満足しての読了です。更なる続編の出版と、歩美と奈緒の今後に期待です。2023/06/09
納間田 圭
173
初作を読んだ時の心に染み渡り感は…忘れていない。本嫌いだった僕を本中毒にした…あの名作の7年ぶりの続編。“使者”と書いて”ツナグ”と読む。繋ぐのは…この世の人とあの世の人。指名した相手の了解は必要だけど…死んだ人間にもう一度だけ会える話し。場所は…品川のある一流ホテル限定。時は…1ヶ月に一度の満月の夜限定。料金は無料で…ただし一人一生に一度切り。依頼人達の…心揺さぶる諸事情。「繋がるかどうかは”ご縁”による」「どれだけ頑張っても繋がらない人がいる一方で、必要な人にはちゃんと繋がるようになっている」2022/07/18