内容説明
ブラックホールとは、重力がきわめて強く光すら脱出できない天体だ。原理は18世紀には考え出されたが、長く存在証明は困難だった。本書は前半で、存在が確認されるまでの歴史をたどりながら基礎をわかりやすく解説。後半では、最先端の物理学からブラックホールの内側に迫る。「別の宇宙」と、そこへの抜け道である「ワームホール」、さらには熱力学との関係など、さまざまな謎を解き明かす。面白く不思議な、最新の宇宙論。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
haruka
26
ブラックホールの謎を追ったら超弦理論、ホログラフィー原理、ワームホールから別の宇宙への入口まで見えてきたよ~!というお話。ブラックホールの中は空っぽ、外から見れば無限の未来のそのまた未来。落ちた人はとどまれず、相対性理論と矛盾しないで光速度を超える速さで落ちていき、特異点でこの宇宙から消える。そんな研究から見えてきたマルダセナ予想。重力の理論は、空間の次元を変えれば重力を含まない理論で表せて、この予想は超弦理論で実現できる。空間の境界面に書き込まれた情報が、現実の空間そのものを作る?やっぱり空間は幻…?2024/05/25
マグカップ
25
少年ジャンプ+で『タテの国』を読み、宇宙について興味を持ったので、この熱が冷めないうちにと本書を手に取った。「事象の地平面」や「ワームホール」など、『タテの国』とリンクする話がチラホラあり、嬉しかった!だけどやっぱり、ちょっと難しい…。もっと勉強します(。-∀-)2022/05/05
かごむし
16
ブラックホールと言えば、光すら飲み込んでしまう不気味で未知の天体のイメージしかなかったが、こんなところまでわかっているのかと驚きながら読んだ。当時の天才たちが一般相対性理論から導き出した結論は、そのアインシュタインにブラックホールなんてありえないと否定されたりと、当時の学者の議論の応酬も面白かった。ブラックホールという特異な天体から予想される宇宙の現象について、その概念すらイメージができなくて、何言っているんだろうという感じだったが、人類がわかっていること、わからないこと、どちらも刺激に満ちた読書だった。2022/08/21
HaruNuevo
8
奥深いねぇ、ブラックホール ありがちな宇宙論の歴史を通じた解説にとどまることなく、定番の入門書よりも一歩踏み込んで、最新の研究、仮説まで掲載 文系にはちょっとストレッチして読む必要があったけど、これは好著でした いやしかし、ブラックホールには質量はあるけど内部に物質がない、という基本的なことが、やはりイメージ出来ないねえ2022/04/30
Hiro
7
ブラックホールに関して、理論的に発見されるに至った歴史、観測からの発見の歴史、理論的な説明、最新の研究の状況などが簡潔にまとめられていて、非常に好奇心を刺激される内容だった。数式などはほとんどなくて、文系でもわかりやすい内容ではあるが、難解な内容も短くコンパクトにまとめていて、初級というより中級レベル的な感じで、理解が難しいところもそれなりにあった。2022年初版ということもあり、比較的最新の研究内容も知れたのでよかった。2025/10/28
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