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内容説明
バナナはなぜ安いのか、村はどのようにできるのか、民族は何を基準に区分されるのか……農作物と農業、人種、民族、言語、宗教、村落と都市、人口、環境問題といった、世界の人々の営みについて豊富な写真や図版とともに解説。著者自身が世界各国で体験したエピソードをふんだんに盛り込み、人間の暮らしが地理的環境とどう結びついているのかを具体的に紹介する。さまざまな環境で生きる人々の姿が鮮やかに見えだす、やさしい地理学入門。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ひろし
88
自然編に続く人間編。いろいろな作物が気候との関連で栽培地が決まっており、そのため各国で主食とする穀物や経済基盤とする商品作物も決まってきていることがわかる。ゴムやカカオは高温で雨が多い気候が必要で、収入を得るため商品作物となるが、食糧にはならない。コーヒー栽培地で地元の人はインスタントコーヒーを飲んでいるそうである。他に、中国とインドに挟まれ両国の係争地である「見捨てられた土地」の話や、ナミビアの、白人大地主が大規模な牧場で国土を分割しているため「国レベルの住宅地図」がある話など、初めて知った話も多い。2022/11/15
skunk_c
67
自然編に続いて人文編だが、やはり著者の本業が自然地理(植生)のため、全体になんだか予備校のテキストのようだった(お若いときにアルバイトで予備校講師をしていたとあり納得)。したがって内容的には高校地理探究教科書レベル。ただご自身がフィールドにしている地域に関する内容になると、俄然面白くなる。やはり実地に見聞き体験していることは大切で、その部分が読めただけで十分満足。一方古い知見がほとんどリニューアルされていない部分が気になった。具体的には人種、民族、宗教(特に仏教とキリスト教)、農業など。参考文献も古いし。2025/01/23
kawa
33
日本の人々の古着の寄付が、逆にアフリカの人たちの生活を苦しめることになるなど、非常にショッキングな内容が多数で印象的かつ頷くこと多し。多国籍農業会社や豊かな国の消費者の習慣が、ほかの地域の人々を飢えに追いやっている実態の一部を理解。ただ、地理学という学問自体に馴染みがなくて、読書としては散漫で残念な部類のものとなってしまった。 2022/09/19
雲をみるひと
24
地理がテーマの本。人文的な内容から自然的な内容まで網羅性は高いが、解説が比較的短文で教科書のような記載が続く印象。深掘りすると面白そうな作者のアフリカやアジアでの経験を踏まえた興味深いトピックも多数収録されているので少し勿体ない印象を受けた。2022/09/29
Sakie
15
『世界は多様である』。地球上の土地には特有の気候と地質があり、人間はそこに合った農作物と農法を見つけて、数万年かけて生活様式や文化、宗教をつくりあげてきた。それぞれがそれぞれに違う多様性があると感嘆した。環境の上に人間の営みがあるはずなのに、支配や経済のために捻じ曲げてぶち壊す振る舞いに、著者は嫌悪を隠さない。研究のために世界各国を訪れる日々は、人々や文化には友好的に、社会・環境問題には敏感にさせるものだろう。前作同様、インドのトイレ問題とか身近な体験談が面白い。犬山リトルワールドめっちゃ行きたい。2025/06/19