内容説明
絶縁して10年――。
私はまだ、父に囚われ続けている。
歌手にして作家、唯一無二の才能がはなつ渾身の私小説。
こんなふうに鮮やかに世界を描写する言葉があったのかと、ページを繰るたびに衝撃を受けました。
澄み切った劇薬のような、忘れ難い物語です。――小島慶子(エッセイスト)
挨拶もなく消えた父。「特別な子供」になりたかった十四歳の栞は、父への怒りを拠り所に青春期を過ごす。十年後、父がもう長くないとの連絡が入る。あれだけ囚われ、憎しみ続けた存在が死ぬ――。空虚な現実を前に、栞の胸に去来するものは。鋭利な筆致で心を抉る、歌手にして小説家の異才が放つ魂の私小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
小夏
4
初読みの作家さん(ミュージシャンでもある)。14歳の少女が父親を殺す決意をするという衝撃的なあらずじに惹かれ手に取りました。黒木さんの史実を基にして描かれているような気がする、それくらいの生々しさが感じられ、こちらが想定していたような派手な展開ではないところがまた違う苦しさを感じる内容だった。幼少期の家庭環境は、心の土台にもろに影響し、人の最後のときまでそれが元となると考えると胸が詰まる。父親との離別記念に、姉弟で檸檬の木を植える描写が、ほの温かく救われた。2026/02/28
KOBEKKO
4
家を出て外に過程を持った父との確執。心にガッツリ抱えつつ、いろんなモノを象徴してるであろうミッション系の全寮制の私立高校生活。クセのある友達に寮母の娘…断片的に触れてくれるのが興味深い。 読み終えてから黒木渚の檸檬の棘を改めて聴いてみたんですが、しーちゃんへは強烈。しかもこの手紙がお守りやったんやろ?!全てひっくるめて檸檬で棘なんやろな。楽しめました。2024/11/04
tekewo
3
黒木渚の家族、特に父親との確執を描く私小説。 小説にすることで父親のことを消化できたのでしょうか。自分の家族と重なる部分もあり、なかなか強烈だった。 2022/07/11
さーや
2
人を憎むことで生きていく、人間の浅ましさ、汚さ。 その描写がすばらしい2023/05/16
あこ
2
大好きなアーティストさんの本で、読んでなかったので文庫になるのを機に読みました。 家族を捨てた父親への憎悪や、日々湧き出る感情、世界への恨みみたいな感情から目を逸らすことを許さない文章だなと思いました。人からするとたいしたことじゃないかもしれない。でも、私にはこれが世界のすべてだと訴えられたような気になりました。 最後の二行がすべてを表してると思います。2022/06/20
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