内容説明
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の著者が14歳の少女の「世界」を描く、心揺さぶる長編小説。寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。そこで出合ったのは、カネコフミコの自伝。フミコは「別の世界」を見ることができる稀有な人だったという。本を夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられて――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
423
ブレイディみかこは、新作をコンスタントに読んでいる作家です。著者の処女小説は、貧困層、14歳の少女の魂の叫びでした。 「両手にトカレフ」を実際に聴いてみたい♪ https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008387.html 2022/07/17
旅するランナー
311
彼女はリアルでワイルドで、ちゃっとセンシティブ。子供であるという牢獄。なんて悲しい言葉なんだろう。困っている子供たちが「しかたがない」と諦めず、別の世界はあると信じて生きられる、そんな世界を作らなければ。イギリスの地方都市に住む少女が生きる世界と、金子文子の「ある日本人女性の刑務所回顧録」の世界が、時空を超えて地続きになる感覚。あまりにも見事にリンクして、逆にあざとく感じてしまう。なんて言う僕は、恵まれた世界に生きる最高にワイルドでドープだと勘違いしている読者に過ぎないのでしょう。2022/12/06
R
254
イギリスの貧困家庭に生きる少女が、日本の大正時代、貧困を生きた女性を描いた本と出会ったお話。すごくよい形で終わるのだけども、何も始まっていないしこれからであるのだが、この物語の終わりまでに出会ったこと、変わったこと、変わらなかったことがとても丁寧に、はっきりと刻まれていて、少女の自立というテーマでもあり、未来を掴む生きる姿が描かれていてとてもよかった。ラップで紡ぐ言葉が少女を救うという観念的な部分を周辺から包むように判然と書いて、生きることを肯定する、行使する姿が凛々しくよかった。2022/10/10
ALATA
245
「本をたくさん読みなさい、本を読まなかったから私はこうなった」寒い冬の朝、14歳のミアは母の言葉をかみしめて図書館の前に立つ。父と母と若い女、複雑な家庭環境、子供達にとって家は自らを守るシェルターだ。この重苦しい出だしはノンフィクションを読み慣れた、みかこさんの小説?と、ちょっと戸惑う。ヤングケアラーの問題、貧困層、救いようのない世界から逃れるために一歩を踏み出すことが大切だと感じた。生きてさえいれば希望の光が見えてくる★3※自分たちの世界はここからスタートする、まだまだ、ずっと・・・ミアへの応援歌だな。2023/06/21
Apple
216
子供は、親を選べない。主人公の少女ミアは明らかに大人びていますが、自分の境遇(子供を守らない大人たちに囲まれる)へのあきらめが大きな要因であるように思われました。その世界から逃れようとするも、なんどもその可能性は裏切られ、孤立し望みを失ってしまっている状態なのが苦しいと感じました。大人や社会に対する不信感が募ってしまうと、誰にも助けを求められず、とても悪いサイクルに嵌ってしまうのかなと思いました。困った時は、オルタナティブな世界がどこかにある、ということを思い出せるといいなと思います。2022/11/20
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