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内容説明
「植物は人間がいなくても、少しも構わずに生活することができるが、人間は植物がなくては一日も生活することができない」(「牧野一家言」)。近代植物分類学の権威である牧野富太郎は、独学で植物学をおさめ、数多くの新種を発見した。50万点もの標本・観察記録や『牧野日本植物図鑑』などの著作も残している。94年にわたる生涯のすべてを植物研究に捧げた彼の人生に沿いながら選ばれ、編まれた名随筆集。解説・いとうせいこう
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
60
まんたろう、もとい、富太郎博士が亡くなる1年前に書いた随筆集。 凄い博識、ユーモアがありながら、バシバシ間違いを指摘。 ボーよーとしながらも激しい、植物愛。 なんじゃもんじゃの本物は、千葉のある神社のクスノキだって。そうなの~?2023/10/08
びわこっこ
46
友人から、醒ヶ井の梅花藻の写真が送られてきたので、水生植物に思いが及んで、牧野富太郎博士が日本で最初に「ムジナモ」を発見した話を読んでみたくなって、この本に収録されている「ムジナモ発見物語り」を読んだ。京都の巨椋池にも生息していたが、干拓により失われてしまったことを残念に思う。根を持たず、水中に棲む昆虫を栄養とする、食虫植物の「ムジナモ」。NHKドラマ「らんまん」では、矢田部教授に植物学教室への出入りを禁止された時期に、農家大学で写生図をかんせいさせた、という世界的発見の誕生の苦労を思う。2023/07/22
彼岸花
37
時の人、牧野富太郎博士の自伝。植物愛一筋、究極のオタクで、死の直前まで研究に身を捧げた。天真爛漫な性格は、野山を駆け回る少年がそのまま大人になったが、波瀾万丈な人生は、家族をも巻き込み極貧生活へ追いやった。妻の苦労はいかばかりか、計り知れない。権威主義の世の中に抗うように、自分の信念を貫き通した精神には脱帽である。後半は専門的な話で戸惑うので、図鑑を方手に読み進めた方が理解しやすいかもしれない。「ジャガイモは断じて馬鈴薯ではない」ように、植物の命名(当て字)に苦言を呈しているのが印象的だった。2023/07/02
canacona
30
牧野先生は本当に植物が好きだったんだな。こだわりが強く、いつまでも童心を忘れない。何の話題について語っていても最終的には植物の話になり、自分の話になるのがとても魅力的に感じてしまう。だけど、膨大な借金を作り、自分の好きなことしかしない😅周囲の人はたまったもんじゃないだろうと思うけど、それでも目が離せなくて、支えてくれる人が大勢いる。チャーミングな人物。現在当たり前に使われている植物の漢字についても、蓬や桜、薄、欅などなど、本来なら当てるべきではないのは知らなかった。2022/09/13
いっちゃん
23
巻末にあるいとうせいこうの解説を読んで、あぁなるほどと思えました。朝井まかてのボタニカを読んで、牧野は遠くから見る分にはいいけど、家族だときついなと感じていました。いとうせいこうが、牧野の地方での採集旅行はライブツアー、行動が新聞で報告されるような当時の人気者、と書いているのを読み、一種のエンターテイナーだったんだと理解できました。2022/08/16