角川文庫<br> 朝鮮大学校物語

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角川文庫
朝鮮大学校物語

  • 著者名:ヤンヨンヒ【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • KADOKAWA(2022/06発売)
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  • ISBN:9784041126776

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内容説明

「ここは日本ではありません」全寮制、日本語禁止、無断外出厳禁。18歳のミヨンが飛びこんだ大学は高い塀の中だった。東京に実在するもうひとつの〈北朝鮮〉を舞台に描く、自由をめぐる物語。解説・岸政彦

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

こばまり

46
私が知りたかったのは、かの学校の現在の様子なのだが、今も変わらない部分はあるのではと手に取る。たまに通り掛かると目にする翩翻と飜る洗濯物は圧巻で、あの窓の一つ一つにミヨンのような子もそうでない子も、今も6人の学生が住んでいるのかと納得した。2023/07/11

おいしゃん

37
買って良かった。単純にラブストーリーとしても楽しめるのだが、2人の間に流れる国籍や民族意識の違いが強いアクセントとなっている。さらに、東京の朝鮮大学校や、その学生から見た「祖国」北朝鮮の内部の描写も実にリアルで、まさに作者でしか書けない物語だった。2022/06/30

梅干を食べながら散歩をするのが好き「寝物語」

21
▼面白く、興味深く読めた。舞台は朝鮮大学校。そこの女子大生と近隣の美大の男子学生との恋愛を軸としつつ、差別や、総連・朝大に拘束された生活、北朝鮮への訪問へと物語が展開する。▼著者は朝大の卒業生。両親は総連の幹部ということで、描かれいてる内容は、非常にリアルなものなのだろうと感じた。▼大学時代の恋愛の物語は切ない。そして北朝鮮訪問に展開してからの物語は重かった。北の列車内で「指導員」と弁当の交換をする場面は泣ける。当事者のみ理解できる蟠りを知ることができた。▼在日コリアンに関する諸問題に関心のある人は必読。2023/07/19

たいこ

21
80年代、浮かれていた日本の中に、自分の感受性、思想、人生を守るためにこんな風に苦しみ、闘っていた若者がいたなんて。ミヨンが入学した朝鮮大学校というところには、在日朝鮮人の女性として日本のコミュニティの中で生きるのとはまた別の多くの理不尽が待っていた。でも、個人の自由を制限するシステムには断固として慣れようとしないミヨンの強さに胸を打たれる。大学前でヘイトスピーチをする右翼は論外として、『国籍なんて気にしないよ』と言うマジョリティとしての日本人の言葉に、また『正欲』を思い出してしまった。2022/10/29

よきし

18
叫びのような本であった。同時に、これは作者の体験と、挫折と、生きられなかったもう一つの生き方でもあったのかとも思う。北朝鮮の革命戦士幹部を育てる日本の朝鮮大学校に、東京で演劇を見たいという動機で入学するミヨン。厳格な規則と差別的で域もできないような環境で、それでも自分自身を失うまいと必死にもがき続ける彼女に、心を揺らされ続けた作品だった。女子寮内における女性自身による抑圧がまた生々しく読んでいてつらかったし、北朝鮮の現状を描く下りはなおさらだった。たくさんの宿題をもらった、そんな読後感だ。2023/11/01

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