内容説明
「ここは日本ではありません」全寮制、日本語禁止、無断外出厳禁。18歳のミヨンが飛びこんだ大学は高い塀の中だった。東京に実在するもうひとつの〈北朝鮮〉を舞台に描く、自由をめぐる物語。解説・岸政彦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
86
衝撃を受けた。作者の映画監督ヤン・ヨンヒは父が総連のエラい人で、兄たちが北朝鮮に送られた背景を持つ人である。監督自身の体験が基になったと思われる小説。80年代の朝鮮大学。演劇に夢中になり、芸大生と恋する甘酸っぱさと、前時代的規則だらけの大学の対比が凄い。学校行事で行く北朝鮮(愛の不時着って結構リアルなんだな)。平壌から追放された姉、飢えた国民。何も豊かで自由な日本を捨てて北朝鮮に行かなくてもいいと思うが、そこは民族の誇りなんだろう。主人公は祖国の体制に反抗し自らの道を選ぶ。この後の激動人生も気になる。2024/10/19
こばまり
48
私が知りたかったのは、かの学校の現在の様子なのだが、今も変わらない部分はあるのではと手に取る。たまに通り掛かると目にする翩翻と飜る洗濯物は圧巻で、あの窓の一つ一つにミヨンのような子もそうでない子も、今も6人の学生が住んでいるのかと納得した。2023/07/11
おいしゃん
37
買って良かった。単純にラブストーリーとしても楽しめるのだが、2人の間に流れる国籍や民族意識の違いが強いアクセントとなっている。さらに、東京の朝鮮大学校や、その学生から見た「祖国」北朝鮮の内部の描写も実にリアルで、まさに作者でしか書けない物語だった。2022/06/30
ヨーイチ
29
ジャケ買いって言葉があるそうだ。その伝で言えば今回は「題名買い」である。作者のプロフィールを見ると、小生より10歳位下、大阪朝鮮高校から表題の大学に進み(日本では各種学校扱いらしい)朝鮮高校教師を経て、現在は映画監督、映像関係の仕事をしているらしい。「自分をモデルにした小説」ってのが小生の感想。自叙伝までは行っていない気がする。題名買いと言ったのは、母校が朝鮮大学のすぐそばにあり、コチラは中学、高校生で「この不思議な学校」を間近に見てきて「いつかは詳しい事を知りたい」と思っていたから。続く2026/02/15
よきし
23
叫びのような本であった。同時に、これは作者の体験と、挫折と、生きられなかったもう一つの生き方でもあったのかとも思う。北朝鮮の革命戦士幹部を育てる日本の朝鮮大学校に、東京で演劇を見たいという動機で入学するミヨン。厳格な規則と差別的で域もできないような環境で、それでも自分自身を失うまいと必死にもがき続ける彼女に、心を揺らされ続けた作品だった。女子寮内における女性自身による抑圧がまた生々しく読んでいてつらかったし、北朝鮮の現状を描く下りはなおさらだった。たくさんの宿題をもらった、そんな読後感だ。2023/11/01




