内容説明
超短編オン・ザ・ロード!
奇才・戌井昭人が行く先々で撮影した写真から文学を生み出す。
青空に浮かぶヘルスの看板、住宅街に鎮座するモーターボート、海辺で出会ったビニール袋をかぶった謎の人、etc.
映えない写真が物語る、抱腹絶倒のショートショート紀行!
目次
はじめに
港町
混迷
ブルー
一張羅
よっこらせ
トタン
UFO
カー
獣
カラー I
古物
扉
ドツボ
陳列
カラー II
とんとことん
後ろ姿
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おかむら
23
戌井さんの新作は、小説でもエッセイでもない、写真と短い文章の組み合わせ集。雑誌「ブルータス」に連載してたそう。帯には「抱腹絶倒のショートショート」となってたけど、そんなに抱腹絶倒感は無かったな。2022/09/20
桜もち 太郎
14
何てことはなく、けして映えることのない、「日常を気取った」そして芸術を気取った写真に、短いエッセイが載っている。だからあまり頭に残らないのだが、なぜか気になって先に進んでしまう。面白かったのは「鳩とトタン」というエッセイ。シュールで笑えるんだけど、どこかで読んだんだよなぁ、気になって仕方がない。どこで読んだのだろうか。賢くもなく、かといって落ちこぼれでもなく、中途半端な極みと自分を語る作者。世の中は結局のところ「俺のような中途半端で成り立っている」ってそれってあるかもなと思った。2023/05/03
ATS
13
写真に簡単な文章が載っている。文章はショートショートのような、随筆のような、日記のような。とくに寓話的であるわけでもなく、端的に言ってしまえば読んでも読まなくても人生にはなんら影響もない類の放言のような感じ笑 でもそのどうでもいいような、いい加減な感じが癖になってついつい読んでしまう。本書を書く契機となったのが尾崎放哉。アタクシ尾崎放哉についてまったく知らかったのだけれど調べてみるとなかなかオモシロい人物(ダメ人間)。「少し病む児に金魚買うてやる」とかなんとも好き。尾崎放哉を知れたことが収穫だった笑2023/04/23
black_black
10
図書館本。ほぼほぼ何の変哲もない写真とそれにまつわるエッセイ。エッセイなのかコラムなのかコメントなのか…判断つきにくい文章がほとんどだけど、すべてが詩的で視点の主従を逆転させたような捉え方もなんか良い。少し可笑しくてちょっと哀しくてどこか懐かしいそんな画と文章を味わえる。借りて読むより買って手元に置いておきたい本だと思った。2022/12/18
natsumi
3
たぶん一応旅がテーマ?の写真のキャプションでもあり単体でもなんとなく完結している自由律俳句?と写真の下の謎のエッセイ?小説?のそれぞれにはてながつきながらも、そこに放り出されたすべてが良かった。旅とは、という顔になる。2022/09/14