内容説明
関東のはずれの町に暮らす高校生、ワラ、ディノ、タンシオ、ギモ、テンポ、リスキ。彼らはそれぞれに傷ついた少年少女たちだった。戦わないで自分自身の大切なものを守りたい、そんな思いから彼らは包帯クラブを結成する。その活動を描いた前作『包帯クラブ』から16年。本作は前作の終わりから話が始まる。場所に包帯を巻く活動は、無理解や反発などを受け、自粛を余儀なくされる。しかし、ひっそりと集まりバンド活動を始める彼ら。発表の場を求めながら、さまざまな人と出会い、再び物語は動き出す。本作では、未来の、成人した彼らの姿も交差して描かれる。この世界にあふれた悲しみのひとつひとつを手当てすることは難しいが、だから何をしたってむだ、とは言いたくない。自分たちのやり方で、自分を守り、大切な人たちを守ろうと踏み出す彼らの第2幕が開く。
目次
第一部 痛みを告げない少女
第二部 遠くて近い、あの日のきみに
第三部 逢いたい人ほど遠ざかる
第四部 忘れられた者たちの祭り
第五部 わたしがあなたのそばにいる理由
第六部 わたしたちはここにいる
エピローグ
【あとがきとして】
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
220
天童 荒太は、ほとんどの作品を読んでいる作家です。包帯クラブの16年ぶりの続編、前作程のインパクトはありませんが、懐かしく、現在のウクライナ侵攻や生き辛い世の中を考えると、今読まれるべき作品かも知れません。ウクライナで包帯を巻いたら、世界中の在庫が一掃されるんではないでしょうか? The Bandage Club BandのLiveを是非聴いてみたい♪ https://www.chikumashobo.co.jp/special/bandage2/ 2022/03/21
のぶ
110
自分は一作目の「包帯クラブ」の内容が気に入らなくて、続編が出ると知った時に、読むのをためらったが、16年ぶりだという事で本書を手に取った。大きなと言う程ではないが、それなりに響くものはあった。前作の終わりから物語が始まる。人が傷ついた場所に包帯を巻く活動は、無理解や反発などを受け、自粛を余儀なくされる。それでもこの運動を続ける高校生の仲間たち。自身にも傷を持ちながらこの行為が、世間から理解される日を待つ。今、クロアチアへの侵略が続く状況で、この運動はまんざら絵空事だとは思えなくなってきている。2022/03/26
fwhd8325
96
映画にもなった「包帯クラブ」の新作。ずっと書棚に眠らせていてごめんなさい。天童さんのあふれんばかりの優しさを感じました。いつの時代だからと言うことでなく、人間として大切なものをしっかり守らなければいけない。そんな強いメッセージは永遠なのです。2023/08/31
うっちー
82
包帯クラブは今まさに全世界に必要な活動だと思います2022/04/03
紫 綺
78
「包帯クラブ」から16年を隔て、あの頃の少年少女たちは青年へと成長していた。時を重ねても信念は変わらず、身体にしろ心にしろ傷つく人びとに寄り添う。アオハルから遥か彼方にいる私にも、包帯を巻いて欲しい。2022/05/25