内容説明
逆説と超論理に満ちた禅問答を、中国独自の思惟方法に注意を促しつつ、祖師方の様々な逸話を用いてわかりやすく解説。山は山、川は川、世界は何一つ変わらぬままに、世界を一変させる新しい観察点を一気に獲得する悟りの真実へと読者を誘う。生誕150年を迎える大思想家の代表作。。
(※本書は2020/9/29に発売し、2022/6/9に電子化をいたしました)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
7
インドから発した仏教は中国を経て日本に定着した、と言えば、言葉は起源と歴史、原因と結果のような意味を表す。著者は、禅がインド起源でなく中国に発したが、現代の中国にはほぼ残っていないという。では、起源と歴史を喪失してなお、禅は何をもって自らを仏教であると規定するのか?仏陀の悟りの経験に直接接近することをもって、と著者は言う。この特異な経験は言葉にすれば必ず逃れる。禅問答は、この経験に達した者が居合のように瞬時に行い、言葉の意味や論理を無意味にする技(アート)である。臨済禅には1700則の公案があるとされる。2021/03/08