中公新書<br> 戦国日本の軍事革命 鉄炮が一変させた戦場と統治

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中公新書
戦国日本の軍事革命 鉄炮が一変させた戦場と統治

  • 著者名:藤田達生【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 中央公論新社(2022/05発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121026880

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内容説明

16世紀中頃、戦国日本に伝来した鉄炮。砲術師・鉄炮鍛冶・武器商人により国内に広まると、長槍や騎馬隊が主力だった戦場の光景を一変させた。さらに織田信長は検地によって巨大兵站システムを整え、鉄炮の大量保有を実現。鉄炮や大砲を活用する新たな戦術を野戦・攻城戦・海戦に導入し、天下統一へと邁進した。軍隊や統治のあり方をも変えたこの「革命」が豊臣秀吉、徳川家康と引き継がれ、近世を到来させるまでを描く。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

112
大規模な鉄炮導入を果たした信長は天下統一を目前に倒れたが、後継の秀吉と家康は鉄炮や大砲による強大な軍事力を背景に中央集権体制を樹立した。これにより大名を鉢植え化して中世以来の統治システムを失わせ、曲がりなりにも幕府を中心とした法治国家の形が整えたのだ。明治に匹敵する変革を3百年前に経験していたわけで、しかも江戸期を通じ続いた鉄炮生産の技術進歩が幕末維新での近代化を促した。鉄炮伝来は戦国時代を終わらせただけなく以後の政治や社会を根本から変えたのであり、日本史における存在価値はもっと高く評価されるべきだろう。2022/04/16

HANA

68
鉄砲の伝来。本書はその伝来によって戦場のみならず政治のシステムまでが如何に変貌したかを論じた一冊。それまでの馬が主力である戦ではその生産地である東国が有利であったが、鉄砲の伝来によって硝石と鉛の入手が容易な上方が優位に立った等は目から鱗の指摘。弾丸としての鉛の優位性などは今まで考えた事も無かったなあ。さらにはそれによって兵站の確保やそれを支える織田検地というシステムによって藩の原型が形作られたことまで兎角興味深い事ばかり。鉄砲の伝来によってその後の日本の有様までも変化した事がよくわかる一冊であった。2022/05/18

みこ

34
鉄砲の伝来が日本の歴史に大きな影響を与えたと言うと大半の人は「そんなの知ってる」と答えるだろう。だが、どれだけの影響を与えたのか具体的に解きほぐすと、まず、鉄砲の流通が科学の発展や経済の流れを変える。戦の有り様を変えることで城の在り方、軍制の在り方を変える。それは領民の統治の仕方も変える。ここ最近、信長は実は保守的な人間だったと評価の揺り戻しが起きているが、改めて彼の革新的な一面を知ることができた。2022/04/16

かごむし

27
織田軍の強さは鉄砲の数だと思っていたけど、弾や火薬の原料になる鉛や硝石をイエズス会などを通じて輸入できたことにあったという。高価な消耗品を使い続けられるのは、強固な家中統制の下、豊富な資金調達を可能にした織田家のみであり、他の戦国大名からは突き抜けた存在だったようだ。室町時代後期、応仁の乱以降ばらばらになった日本が、統一に向かったのは時代の必然に思うのは錯覚で、各大名が自分の国だけ保全できれば満足できたであろう社会を、圧倒的な火力で一つにまとめ上げようとした織田信長はやはり、異端であるし、革命的であった。2022/09/07

ようはん

25
テーマとしては鉄砲伝来による日本の軍事システムの変化、その影響による社会の変化について。平山優著「検証 長篠合戦」で東国の武田に対する畿内を抑えた信長側の鉄砲に使用する弾薬の確保の優位性が語られていたが、弾の原料である鉛がタイの鉱山で生産されていたのが研究で判明し、それがイエズス会を通したルートであり一方で朝鮮からの足利義昭通じてのルートも存在し信長包囲網勢力に流通していたというのが一番興味深い点だった。2022/05/31

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