内容説明
計算社会科学の最先端を走る研究者が、Twitterボットによるフィールド実験で、その真の原因をはじめて明らかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
117
ソーシャルメディアは若者を中心に拡がりを続けている。そしてそのプラットフォームではより過激な言動が分極化を助長させているように思える。アメリカにおける民主党と共和党の支持者を主な対象として、数年間のデータを用いる計算社会科学を専門とする著者による分析過程と結論を示す。ソーシャルメディアは、自身を写す鏡ではなく、自己を屈折させるプリズムであり、それをハックする方法と、尊重と相互理解を深めるプラットフォーム作りが有用である可能性を示している。謝辞にて亡き父との会話が内なる利他性を呼び覚ます様に胸が熱くなる。2022/10/09
R
45
アメリカにおけるSNSの影響を調査した本。ほぼ論文といって差し支えないような堅苦しい内容ながら、壮大な社会実験めいたことを行っていて、非常に興味深い内容だった。SNSによって妙なアイデンティティが形成され、それが歪んだ仲間意識のようになり、他者への攻撃を加速させていくプロセスが、様々な内容から示されるわけだが、立場や所属という概念を発端にして、異端排除が醸成されるのは避けられないし、それを助長するSNSという姿だが、人間の本性が排他性をもって、たまたまSNSがそれを鮮明にしているだけともいえる。2023/07/20
エジー@中小企業診断士
12
SNSはユーザーの世界観に沿ったコンテンツを次々とレコメンドするアルゴリズムを通じてエコーチェンバー(反響室)効果を促進し、自分の意見の正しさを益々確信して意見が異なる相手への批判は先鋭化し過激になる。アメリカにおける共和党派と民主党派の分断が深まっているのはSNSの影響である。この分極化に関する常識を覆す「計算社会学者」の本。エコーチェンバーから出ると、つまり自分と異なる意見を目にする機会が増えると穏健になるのか?実験結果は逆に意見が強化された。つまり保守的な人はリベラルな意見でさらに保守的になった。2023/08/20
人生ゴルディアス
12
フィルターバブルを破ってみたらどうなるか? 結果は、対立政党の意見をちょくちょく見せられると、視野が広がる代わりに意固地になる。よって、人はデータによって思想信条が決まるのではなく、その逆である可能性が高い、みたいな話。また想像以上にネットはノイジーマイノリティで溢れていて、たいていの人が目にする政治的に偏った言説は、その派閥においてもなお引かれるほどの超極端な人の意見で、対立派閥からの偏見を助長している…とかとか。人間はSNSをやるには愚かすぎるのじゃ。2023/03/27
masabi
10
本書はソーシャルメディア上で米国の共和党派と民主党派の分断を題材にしているが、政治以外の他のアイデンティティでも同様の仕組みが機能しているのだろうと思わされた。過激な投稿も相手の説得や論破よりも同じ陣営に属する人たち向けにパフォーマンスとなり、承認欲求が満たされる。筆者は対立相手に対する実態とイメージの齟齬を対話を通じて解消され得るとみて、研究用に開発したソーシャルアプリを通して実験した。結果は利用者の見解の相違はそのままでも分断を超えた対話が生まれ、期待が持てた。慎重にマッチングした結果とはいえ。2026/01/22




