筑摩選書<br> 資本主義・デモクラシー・エコロジー ――危機の時代の「突破口」を求めて

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筑摩選書
資本主義・デモクラシー・エコロジー ――危機の時代の「突破口」を求めて

  • 著者名:千葉眞【著者】
  • 価格 ¥1,705(本体¥1,550)
  • 筑摩書房(2022/06発売)
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  • ISBN:9784480017437

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内容説明

自由民主主義体制は20世紀半ば以降、大枠としては機能してきたが、いまや多くの自由主義諸国で、代表制や複数政党制の機能不全が指摘されるようになっている。新自由主義が世界経済を席巻するようになるにつれ、格差社会化も進行している。地球環境の危機も深刻化している今、これら喫緊に課題とどう向き合うかを巨視的な枠組みから考究し、隘路からの脱出の方途を探った渾身の書である。

目次

はじめに──いまなぜ「資本主義・デモクラシー・エコロジー」なのか
三頭立ての馬車──デモクラシー、ナショナリズム、資本主義
新自由主義の出現と「新右派連合」の形成
資本主義と社会主義
シュンペーター『資本主義・社会主義・民主主義』
地球環境の危機──エコロジー問題
第一章 資本主義の変容──デモクラシーと立憲主義の危機
国民経済としての初期資本主義vs.今日のグローバル金融資本主義
1 アメリカ合衆国の風景
リーマン・ショックの真相とその問題の根源
2 日本の風景
3 新自由主義的イデオロギーとは何か
新自由主義の定義
ウェンディ・ブラウンの新自由主義批判
「タックス・ヘイブン」の問題
第二章 揺らぐ現代国家の正統性
1 グローバル資本主義とアカウンタビリティ
「アカウンタビリティ」という概念の登場
「委任型」正統性vs.「アカウンタビリティ型」正統性
信託型代表制に向けて
2 ハーバーマスの後期資本主義国家批判
3 ウォリンの現代アメリカ国家批判
ポストモダン国家の自動的正統化への批判
アメリカの覇権主義への批判──「逆立ちした全体主義」
国内の法の支配および立憲主義の破壊
4 統治形態としての「民主的」国家の危機
ポスト真実の時代におけるデモクラシー
「束の間のデモクラシー」
5 ふたたび、デモクラシーvs.国家形態
アバンスールとランシエールの見解
ウォリンの立場
第三章 自由民主主義の危機と社会保障の劣化
1 自由民主主義体制の危機
代表制民主主義と参加民主主義の連続と非連続
自由民主主義体制
2 「革命の失われた宝」としての参加民主主義の政治
ジョン・スチュアート・ミルの格闘
「革命の失われた宝」──アーレントの議論との関連で
ロック的革命論の今日的意義──ウォリンの議論との関連で
3 代表制と参加民主主義の還流に向けて
代表制の機能不全の多様な要因
民主主義の複線モデル
4 すでに「ポスト・デモクラシー」の時代なのか
社会民主主義の後退
コリン・クラウチのポスト・デモクラシー論
5 民主主義の再生のために
ヘゲモニーの視点
福祉社会の実現へ──下からの民主的ヘゲモニー構築の制度構想①
ベーシック・インカム導入の可能性──下からの民主的ヘゲモニー構築の制度構想②
第四章 エコロジーの限界とその逆襲
1 環境危機の四つの問題圏
環境汚染
人口、食糧、エネルギー問題
熱帯林の破壊と巨大な山火事
地球温暖化による気候変動
2 人類種は自らの生存を願ってはいないのか
3 ジェイムズ・ラヴロックの「ガイア」仮説
4 三つの異なる政策路線ないし目標──持続可能な発展、定常型経済、脱成長
持続可能な発展(グリーン・ニューディール)
定常型経済
脱成長
5 将来に向けた課題
補論 シュンペーター・テーゼ再訪
『資本主義・社会主義・民主主義』の出版とその画期的意義
三つのシュンペーター・テーゼとその骨子
歴史の後知恵から──八〇年後の視点論点
あとがき
略記表(アルファベット順)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

PETE

1
日本を代表する政治理論学者のひとりが、現代社会の諸問題に意欲的に切り結んだ一冊。資本の動きが民主主義を絡め取った「経済政体」とデモクラシーの相克については、シェルドン・ウォーリンを精力的に紹介してきた著者が、ラクラウ、ムフらのアゴニスト左派から、ロトクラシーなどの制度改革論にも目を配りながら詳細に論じている。でも、エコロジーに関しては、この著者でなくても書けたのではないかと思える。環境問題を悪化させるメカニズムを、経済政体や現代民主主義の影響と結びつけて論じることができていない。2022/09/26

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