内容説明
英雄から暗黒の侵略者に転じた秋の七草のクズ、美しく高貴な衣装の陰に毒を秘めたトリカブト、水底の根に新鮮な空気を送る配管を発達させたガマ―。秋から早春にかけて野山を彩る植物の、知略に満ちた繁殖法を紹介。寒さが強まる過酷な季節にあえて花を咲かせ実をつける理由とは? NHKテレビやラジオでも人気の生態学者が、やさしい言葉で奥深い植物の世界を案内。
目次
まえがき 耳を澄ませば──生き物たちの世界へのいざない
秋
ツリフネソウ──渓流の小舟
ウメバチソウ──姫君の秘め事
クズ──植物界のダースベイダー
トリカブト──高貴なる深慮遠謀
ヤマボウシ──山の美味フルーツ
ヤナギタデ──水際の対策
ノコンギク──晩秋の最終ランナー
カラスウリ──野に灯る小さなランタン
ツタ──垂壁のクライマー
コラム1 実を食べられる・食べさせる
コラム2 植物はただでは食べられない
冬~早春
ジャノヒゲ──葉陰の宝石
ガマ──風に舞う綿アメ
ヤドリギ──樹上のパラサイト
マンリョウ──クリスマスカラーの誘惑
ウメ──天神様の花と実の秘密
セツブンソウ──早春の雪片
フキ──ふくらみの奥の性生活
ショウジョウバカマ──分身の舞
フサザクラ──原始の風吹く沢沿いに生きる
コラム3 植物のフシギQ&A
コラム4 ふわふわ、くるくる、風に飛ぶタネ
あとがき
〝生態学的〟お散歩のススメ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やま
11
期待を外さない。語り口もわかりやすければ、その生態の驚くこと。ツリフネソウ、ウメバチソウなど、ちょっと知ってる植物を題材にしているので、野に遊ぶ身にとっては嬉しい。◇ウメはなじみだけど、フサザクラはこの前覚えたばかりで不思議な花だと思っていたら、とても原始的な花の構造で驚く。この本を片手に待って野山に出かけて、立ち止まって観察してみようかしらん。あ、これは秋冬用だった。2023/06/28
Mマジパン
2
これからの季節ということで、秋冬編から読み始めた。季節ごとにも次々と花が入れ替わっていくのでそれに合わせて面白いエピソードがちりばめられている。ツリフネソウなど早速見に行ったが、知識が入っていると観察がより楽しめる。生態学の先生なのでやや難しいところもある。しかし自然界での花と昆虫などとの関わり合いは本当によくできていて実に面白い。2022/09/22
kaz
1
興味が無いわけではないのだが、なかなか名前を覚えられない。そこまでの意欲が無いというだけなのだが。図書館の内容紹介は『英雄から暗黒の侵略者に転じた秋の七草のクズ、美しく高貴な衣装の陰に毒を秘めたトリカブト…。秋から早春にかけて野山を彩る植物の、知略に満ちた繁殖法を、カラー写真とともにやさしい言葉で紹介する』。 2022/03/15
Y
0
★★★☆☆2023/08/04