ちくま学芸文庫<br> 〈権利〉の選択

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ちくま学芸文庫
〈権利〉の選択

  • 著者名:笹澤豊【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2022/05発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480510853

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内容説明

“right”に「権利」という訳語があてられたとき、そこには特殊日本的な背景が作用し、それ自体が一つの独自な解釈を表すものとなった。「力と利益」の意味を含む日本の“権利”の思想は、「正しいこと」を意味する西洋の“ライト”の思想とどの程度異なり、また、どの点で共通しているのか。この問いを考察の糸口として、我々が「権利」と呼ぶ思考装置の問題点と限界を明かし、その核心に迫る。福沢諭吉、西周、加藤弘之ら日本の思想家をはじめ、ロック、ドゥオーキン、ロールズ、セン、ニーチェらを導き手とし、理念と力の錯綜した関係を解きほぐした著。

目次

序文
第一章 「権利」という日本語
1 思想表現としての「権利」
2 〈ライト〉と「通義」
3 「権」としての〈ライト〉
4 「利」と〈ライト〉
第二章 利の追求と共同の論理
1 「権利」と「権理」
2 全体優先か個人優先か
3 個人優先主義の問題点
4 〈ライト〉と共同体主義
第三章 〈ライト〉の思想と平等主義
1 機会の平等
2 格差原理と〈ライト〉の思想
3 逆差別の問題
4 平等主義の困難
第四章 〈ライト〉の思想と自由の問題
1 消極的自由の特質
2 積極的自由の要求
3 消極的自由を守るための積極的自由
4 民主制と自由
第五章 〈ライト〉の思想と力の論理
1 アイディアリズムからリアリズムへ
2 支配と服従
3 権利の成立根拠
4 権利の尊重と力への意志
第六章 〈ライト〉の思想の問題状況
1 起源と正当性の問題
2 なぜ必要な思想なのか
3 陶片追放の論理
4 望ましい社会の決定方式
5 豊かな社会の神話
6 結びに代えて
文献
あとがき
文庫版あとがき
解説 他に類書というものが存在しない真に画期的な一冊(永井均)
索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

袖崎いたる

6
永井均による解説に目を止めた道徳的な判断は、その判断をしたものの運命を決めてしまう。「いや、今や正しいことになった、というべきだろうか。おそらく、もともと正しかったことに今やなった、というべきなのだろう。」p2902024/06/03

Bevel

6
共同体主義、平等主義、自由主義の三本柱からなる権利の体制は、その基礎に「力」の論理をもつ。要は専制国家に対して、力なしに権利の体制を立てることも押し付けることもできないし、権利の体制が立ったとしても、その内部に「力」の論理の変質したもの(=消費社会、差別)が残り続けるというもの。「力の論理こそが唯一の「自然の法」であり、〈ライト〉はこの「自然の法」の所産である」(200-201)。永井氏の帯で手にとったけど「権利のイデオロギー的本質」に注目するあとがき読むと、もっと別の読み方あるだろと思ってしまう。2022/02/27

5
おもしろかった。「権利/right」の内実を、ヨーロッパの思想史や明治日本のなかに探る。ロールズやノージックらも扱われる。「権」の字にあるように、権利には「力」の要素が含まれる。「権利を守れ」という主張は、ニーチェ的な、弱者の「力への意志」のあらわれである。さらに、rightの原義である「正しいこと」という意味が背後に付くことで、「権利」という理念は「聖化」され、疑いえないものとして捉えられる。 これまで私は「立法権は権力で、所有権は権利なの、ややこしいな」などと思っていたが、少しわかってきた気がする。2021/12/09

茅野

4
書店で衝動買い。シンプルだがインパクトある表紙も素敵ですよね。 「そんな根本的なところから問うんだ?」と言うくらい、奥底からの疑問から出発する、政治学や社会学というより哲学的な一冊。平易に書かれているので読みやすく、納得を得やすい。良書。2022/09/24

ブルタ

0
権利の思想について深く考察した本だった。権利の根源について考察した真に画期的な一冊だ。2024/08/11

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