内容説明
“right”に「権利」という訳語があてられたとき、そこには特殊日本的な背景が作用し、それ自体が一つの独自な解釈を表すものとなった。「力と利益」の意味を含む日本の“権利”の思想は、「正しいこと」を意味する西洋の“ライト”の思想とどの程度異なり、また、どの点で共通しているのか。この問いを考察の糸口として、我々が「権利」と呼ぶ思考装置の問題点と限界を明かし、その核心に迫る。福沢諭吉、西周、加藤弘之ら日本の思想家をはじめ、ロック、ドゥオーキン、ロールズ、セン、ニーチェらを導き手とし、理念と力の錯綜した関係を解きほぐした著。
目次
序文
第一章 「権利」という日本語
1 思想表現としての「権利」
2 〈ライト〉と「通義」
3 「権」としての〈ライト〉
4 「利」と〈ライト〉
第二章 利の追求と共同の論理
1 「権利」と「権理」
2 全体優先か個人優先か
3 個人優先主義の問題点
4 〈ライト〉と共同体主義
第三章 〈ライト〉の思想と平等主義
1 機会の平等
2 格差原理と〈ライト〉の思想
3 逆差別の問題
4 平等主義の困難
第四章 〈ライト〉の思想と自由の問題
1 消極的自由の特質
2 積極的自由の要求
3 消極的自由を守るための積極的自由
4 民主制と自由
第五章 〈ライト〉の思想と力の論理
1 アイディアリズムからリアリズムへ
2 支配と服従
3 権利の成立根拠
4 権利の尊重と力への意志
第六章 〈ライト〉の思想の問題状況
1 起源と正当性の問題
2 なぜ必要な思想なのか
3 陶片追放の論理
4 望ましい社会の決定方式
5 豊かな社会の神話
6 結びに代えて
文献
あとがき
文庫版あとがき
解説 他に類書というものが存在しない真に画期的な一冊(永井均)
索引
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