ちくま学芸文庫<br> (見えない)欲望へ向けて ――クィア批評との対話

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ちくま学芸文庫
(見えない)欲望へ向けて ――クィア批評との対話

  • 著者名:村山敏勝【著者】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2022/05発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 330pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480510976

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内容説明

性差や異性愛といった規範が作用する場から見えない欲望を引き出し、新たな解釈を生産すること。本書は、そうしたクィア批評の声に耳を傾けながら、「自分ではない」ものへの同一化による読むことの快楽と、性的な快楽を混線させる試みである。セジウィックの理論や英文学の古典から、ホモソーシャルな欲望、文学共同体の規範を学ぶ快楽、プライヴァシーという概念装置等を縦横に論じるとともに、クィア批評と精神分析の思想的往還を、ジジェク、バトラー、コプチェク、ベルサーニらを読むことで辿った。クィアなるものが含む解放性と固有性のパラドックス、批評的・思想的探究と政治的意味の緊張をも見据えた名著。

目次

序章●Ⅰ 見えない欲望を読む●第一章 セジウィックとホモソーシャル/ホモセクシュアル連続体●第二章 男と男のあいだ──『デイヴィッド・コパフィールド』のセクシュアリティ●第三章 ジェイン・オースティンを読む兵士たち●Ⅱ プライヴァシーの亀裂と侵犯第四章 わたしは作文を引き裂いた●──『ヴィレット』と語る女性の私的領域●第五章 登場人物には秘密がない──E・M・フォースターのクローゼット●Ⅲ 精神分析とクィア批評の往還●第六章 欲望はそこにある──ジジェク、コプチェク、固い現実界●第七章 主体化されない残余≠去勢──ジュディス・バトラーと誤読のポリティクス●第八章 孤独なマゾヒズム──レオ・ベルサーニへの斜線●あとがき●解説 秘密の在り処●参考文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅん

15
隠された、見えない性的欲望を文学作品から見出す、という作業をクィア批評は為してきた。しかし、「隠されている」ものを暴くという形式自体が、同性愛を示唆する「クローゼット」の言い方とあいまって、ステレオタイプや保守化を招くのではないか。著者はそのような問題意識から、ディケンスやオースティンといった古典小説、あるいはラカン派の精神分析を読み解く。文章自体はそんなに難しい印象は持たないのだが、私が読み解けてない複雑な思考があるように思う。2023/11/04

今野ぽた

5
まずはこの本が文庫化したことに敬意を表したい。 大学院生時代以来に読み返したがやはり刺激的な本である。特に第5章、第6章は小説を読む快楽を考えさせてくれる。正直、ほとんどが読み通せない難解なのだが、「どこに向かっているかわからない欲望、同一化できるかどうかわからない欲望の所在に気づき、ためらいがちに近づくこと。クィアなパフォーマンスが文学批評に多くを与えてくれる(逆もまた)のは、未知の欲望を読むことを通してである」(p61)ということが通底していることは分かる。2022/02/19

まだ鯉

0
コプチェクのところで、個々のまなざしと規律訓練的なまなざしの区別みたいな話があったはずだけど、コプチェク本人のフェミニスト映画理論批判の部分にはそういう話なくて?となった。2025/05/12

Y.T.

0
かなり難しかった。また再読しよう。ベルサーニの『親密性』が一部で話題になっていたので読んだ形

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