内容説明
若き日に執筆された知られざる貴重な童話二作。『沈黙』構想の礎となった「稔と仔犬」は、まさに「踏み絵」を連想させる衝撃作。不明であった原稿の一部が発見され、ついに初単行本化!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
桜もち 太郎
16
遠藤周作が描く童話ということで読んでみた。「稔と仔犬」で「生きていくことには諦めねばならぬことがあまりに多い」と犬を飼うことに母親に反対された稔が悟る場面が印象的。いじめっ子に言われ、マリア像を空気銃で撃つか、可愛がっている犬を撃つのか、究極の選択を迫られる稔。「沈黙」の原点と言われる物語だけあって奥深さがあった。「青いお城」はりぼんに掲載された少女もの。こちらの方が物語としては面白かった。 2023/05/16
がんもどき
7
「稔と仔犬」はちょっと物足りない終わり方だと感じた。逆に「青いお城」は60年代の少女漫画雑誌に小説が乗っていたというのは驚きだったが、連載物だったとはいえだらだらと長いと感じた。2022/05/06
ぷるぷる
6
発掘作品集。童話って感じはしませんでした。「沈黙」と同じテーマと思われる「稔と仔犬」は尻切れトンボですが心の奥底に響くようで好きです。「青いお城」は流石に時代を感じさせて、少女雑誌に連載されていたらしい内容で正直退屈なんですが平吉くんは「おばかさん」のガストンに通じるかもなと思えば興味も湧きます。既存の作品を読み尽くしたような、この作家が大好きな人にとっては読む価値高しですが、発掘しなくてはいけないほど埋もれてしまった作品なのも納得するくらいの出来だと思いました。2022/05/07
たつや
5
図書館で見つけた一冊です。遠藤周作の初期の童話は二本収録。表題作の稔と仔犬は踏み絵的な作品でした。どうも、キリスト教に関連する団体の発行する雑誌に連載された様なので、自ずと宗教的な作品に仕上がってます。ただ、え?これで終わり、という感じで尻切れトンボでした。もっと書いていれば、有名な作品が残ったのでは?等と思う。2023/10/08
とっとこポム太郎
4
遠藤周作の童話。キリスト教的な考え方が見られる。踏み絵を彷彿とさせる描写はなんだか切なかった。また、『稔と仔犬』の風景描写が美しい。”さきほどまでは、やわらかな羽のように蒼ざめた空にはそれだけぽっかり薔薇色にうかんでいた小さな雲が,いつの間にか、悲しげな色彩りに変っている。” 個人的には遠藤周作にはもっと児童書を書いて欲しかった。2023/10/13
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