内容説明
平清盛が保元・平治の乱を制し、源義朝を死に追いやったのは有名な史実だ。そして嫡男・頼朝が囚われながらも死を許され、伊豆に配流になったのもよく知られる。清盛亡き後、頼朝は平氏を滅亡させ、鎌倉幕府を開いた。史上初の武家政権。しかし、初代頼朝・二代頼家・三代実朝ら3人の源氏の将軍は、いずれも悲劇的な死を遂げている。その数奇な因果は何を物語るのか。本書は、代表作『君の名残りを』で、タイムスリップ青春小説として平家物語の時代を描いた著者が、源家三代の将軍と、頼朝と北条政子の娘・大姫、実朝を暗殺した頼朝の子・公暁の5つの死を、妖しくも幻想的に描く連作時代小説である。死してなお続く清盛と頼朝の葛藤と、史書も記録しない頼朝の死の謎を描いた「されこうべ」をはじめ、実朝の死への道行きに寄り添った表題作「黄蝶舞う」など5篇の幻想譚を収録。ミリオンセラー『四日間の奇蹟』の著者が挑んだ新境地。解説:末國善己。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジンベエ親分
30
鎌倉時代初期を描いた連作短編集。著者はこの他に源平の闘いを舞台にした「君の名残を」という名作があるが、昨年の大当たりした大河ドラマにあやかってもっと注目され読まれても良い作品だと思う。史実を巧みに織り交ぜながらも、物語の主題は怨念という超自然であり、むしろ解説で述べられているとおり、「怨念話」に巧みに史実を織り込むことによってリアリティを持たせる手法に思え、その筆致には圧倒された。それにしても本作の人物像と昨年の大河ドラマでのそれが比較的無理なく被るのは偶然なのか?大河ドラマの裏設定のようで興味深い。2023/09/10
鍵ちゃん
18
頼家、頼家、実朝ら源将軍家の闇に光を当て、ベールに覆われた悲劇を鮮やかに描ききった幻想連作短篇集。頼朝と清盛の相剋、謎に包まれた頼朝の死をめくる困縁を、描く「されこうべ亅、「修禅寺物語亅に想を得た「双樹亅、実朝暗殺事件を実朝、公暁双方の生活からドラマチックに迫る「黃蝶舞う亅と「非鬼の娘亅、頼家と実朝の実姉、大姫の儚い生を描く「空蝉亅の5篇を収録。戦国、江戸時代など話になることが多い中、鎌倉時代初期の話が私の中では貴重で新鮮でした。2020/10/13
鯖
17
幻想的な源氏三代滅亡の記録。京極夏彦の「狂骨の夢」を彷彿とさせるところもあり、戦国以降の武士たちが源氏の末裔を自称したがるのは荒ぶる源氏が滅んでて神格化するのに都合がよかったのかもなあと思ったり。大姫もちまちまと身内に祟ってないで、母上の御実家にガツンと祟りにいってもいいんですよ…。2015/04/18
紅(mokomoon)
15
図書館☆ 史実と独自の解釈を連ねた短編集なんかな? 読み込めなかったからかなさっぱり意図が解らなかったです(>_<) 2013/12/23
みなみ
11
伝奇要素の強い、鎌倉時代初期を舞台にした歴史の物語。冒頭の「空蝉」はいわば序章であり、「されこうべ」がトップバッターである。全部読んでみて一番インパクトがあって面白かったのがこれ。頼朝の悪く言えば(ちょっと)卑怯で小心者な人格があますところなく描かれ、まさに因果が巡るような結末を示す。表題作は、全てがこうつながるのか!というプロットの良さが印象に残った。2025/01/12
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