内容説明
《私は、二百二十七名の一員として、太陽系の外を目指し、地球を発った。計画した目的を果たし、旅が始まって十年目の今、我々はこれから帰還の途に就く》32世紀。高度な科学技術的発展を成し遂げ、内太陽系をも生活圏とした人類は、その能力と野心を一層満たすために、ついに史上初の太陽系外有人探査計画に着手、地球に最も近い恒星であるケンタウルス座α星へ向かう決定を下した。そんな時代に、グリーンランドの小都市で医師の家庭に生まれた少年は、成長期の体験から宇宙航海士になることを決意、この有人探査計画を聞きつけると、遠征隊の審査試験に合格するために研鑽を重ね、晴れて巨大探査船ゲア号に搭乗する選りすぐりの遠征隊員の一員となる。そして迎えた出発の日、宇宙空間をゆっくりと動き出したゲア号は、次第に速度を増し、遥かなる未知の空間へと踏み出していった。暗黒の真空を突き進む旅路の果てにはいったい何が待ち受けているのであろうか?――レムが晩年まで、ポーランド国内での再版と外国語への新たな翻訳を拒み続けた幻の長篇がついに邦訳なる。映画『イカリエ-XB1』原作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
74
ほぼ半月を費やした。レム作品ということでやや構えた感がある。「レムの幻の長篇がついに邦訳なる」となれば、猶更。レム本人は翻訳されることを嫌ったという。実際には、翻訳はされたが、旧共産圏諸国に限ってのこと。レムは、生活費を稼ぐために、当時の共産主義イデオロギーに反しないよう、用心深く記述したようだ。2022/09/20
サワ
14
1950年代に本書は、単行本として東欧で刊行された。宇宙への夢と宇宙人との接触をテーマに主人公達が立ち向かう本書は、宮殿を連想させる建物や猥雑なアメリカの宇宙船を登場させることで、主義主張への批判と物語の進行の両立を編み出しているように思えた。著者の作風の転換点であったことや時代背景が、本作品の邦訳へ膨大な年数を要したのだろうか。 ソラリスや大失敗といった後年の作品を読むことで、より本書の理解が進むかもしれない。 同著者の他の作品も読んでみたいが…かなり気合がいるためまたの機会としたいと思う。2025/04/28
はにまる
5
レムが今まで翻訳を拒否していた幻の一冊。共産主義の支配のもとに書かれた精一杯のSFという印象で、社会主義リアリズムとはこういうことかと理解。他のレムの作品に比べると、人智を超えた存在が描かれることもなく、人間の知性に対して楽観的だ。ただ書物の未来考察はいかにもレム。書物の増大の結果「目録の目録や書誌学の書誌学」が生まれ続け、その果てに登場したのが、人々が書物の所有から解放されトリオン図書館にネットワークでアクセスするという、共産主義的ユートピア。Kindleで本書を読んでいると、なんとも微妙な気持ちになる2022/12/14
いきもの
3
正直、微妙。SF要素はその時代並みで、古臭い人間賛歌みたいな部分も多く、文章も変に詩的な方向に走りがち。著者が生前翻訳を拒んだ理由も納得。2025/05/09
ケロたん
3
半分で挫折。 少年が医師になり宇宙船に乗るまでは、青春小説ぽく順調に読めたが、宇宙に飛び立ってからページが進まず。 レムなのに…2022/08/08
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