たぶんみんなは知らないこと

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たぶんみんなは知らないこと

  • ISBN:9784065270431

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内容説明

ねえねえ。なに話してるの?
そんなふうにいえればいいんだけど、わたしはおしゃべりができないから。
おしゃべりしようって思っても、頭のずっとおくのほうでなにかがちかちかってするだけ。お口もじょうずにうごかせないし、もうしかたないなぁって思ってる。本文より。

重度の知的障がいのある小五の女の子、すずと、お兄ちゃん、同級生、先生、保護者たちなど周りの人をめぐる優しい物語。

『ふたり』が青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『香菜とななつの秘密』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれるなど、特別支援学校で長く現役教師をつとめながら児童文学作家としても活躍する、福田隆浩氏最新作。

目次

目次
1 トマト号とくじら号
2 お兄ちゃん
3サラダ
4 こうりゅう会
5ペンギン
6 かなでフェスタ
7 とちゅう下車
8 かなでフェスタ2
9かなでフェスタ3
10 かなでフェスタ4
11 雪の日
12 新しいぼうけん

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

がらくたどん

67
特支校教諭による重度知的障碍児本人と周囲の人々の「日常」の物語。すずちゃんは発語ができない。発信される喜怒哀楽は涙と身体行動。でもその内面は好奇心とたくさんの気持ちや思考が詰まっている。そんなすずちゃんの内言を拾いながら、心配性の母・離れて暮らす父・妹がちょっと負担ででも愛おしい中学生の兄・支援校の先生や保護者・そして交流校の普通学級の児童たちがそれぞれに感じて推測したすずちゃんの思いが綴られる。すずちゃんの想いは汲み取れたり的外れだったり。すずちゃん側もそれは一緒。お互い精一杯に想像して寄り添って。良書2023/02/02

けんとまん1007

58
知らないことでもあり、知らされないことでもある・・というのが、第一印象。そういう自分もと考えると、全く知らないわけではないが、それに近いと再認識。ご本人との関係性や距離感によっても、随分と違う。共に生きるとは、どういうことなんだろうと考える。その時の自分は、ずっとそのままではない・・・という、当たり前のことに、なかなか思いが行かない。そこからだとは思いつつ・・でも、こうやって、本との出会いから変わりうると思う。2022/07/15

なななお

38
読書って凄い、と思うのは、全く知らない世界を垣間見る事ができた時。この本もそう。重度の知的障害を持つ子供の環境やその家族の心情。周り人の受け取り方。綺麗事ばかりじゃなく、時には非道いことを言われたり、からかわれたり。その度に家族は落ち込むのだろうけど、ふと光さす時もある。その子の成長を見た時や周りの理解が得られた時。社会の役に立つ人間しか生きている意味がないのか…兄は自問自答するが、同じ世界に生きていることが嬉しい、それだけでいい、という結論に至る。共に生きる社会は、お世話する側される側、ではない。2022/07/07

ほんわか・かめ

33
重度の知的障害と運動機能のハンデを抱えているすずちゃん。口を上手に動かせず、おしゃべりもできない。すずちゃん目線で物語が進むので、こんなにもたくさんのことを考えていたのか!とハッとする。たまに挟まれる先生とお母さんとのやり取りの連絡帳、お兄ちゃんのブログが、複数の視点をもたらしてくれる。次男の通う小学校は支援学校との交流が活発なので勧めたい。2022/08/07

anne@灯れ松明の火

31
新着棚で。福田さんは好きな作家さんだが、表紙の絵(しんやゆう子さん)のかわいらしさにも惹かれた。先日読んだ「じゅんくんの学校」と同様、支援学校に通う少女のお話。すずちゃんは、じゅんくんより、重度で、年齢も上。読者の対象年齢も上で、読みごたえもあった。初め、じゅんくんのお姉さんと、すずちゃんのお兄さんの違いに、今度のお兄ちゃんは感じが悪いなと思った。が、すぐにそれは浅はかな感想だったと気づき、恥ずかしくなった。障がいを持つ人、その家族や先生、仲間などの思いを知ることができて、良かった。大人にも読んでほしい。2022/09/11

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