内容説明
異才が10年の間に書き紡いだ、危うい魅力に満ちた10の白昼夢。人間の身体を侵食していく植物が町を覆い尽くしたその先とは(「白昼夢の森の少女」)。巨大な船に乗り込んだ者は、歳をとらず、時空を超えて永遠に旅をするという(「銀の船」)。この作家の想像力に限界は無い。恐怖と歓喜、自由と哀切―小説の魅力が詰まった傑作短編集。文庫書き下ろしの掌編「ある春の目隠し」も特別収録!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H!deking
96
いや~いいですね。これぞ、って感じの恒川ワールドでした。自分とは同い年なので子供のころ見た世界が似ているんだろうな。それにしてもお礼に粘膜蜥蜴の文庫本ていうのが吹きました笑 おすすめ!2022/12/29
眠る山猫屋
90
11編の迷い道。どれも好きだ。ちょっと間違った道に入ってしまった子供の頃のような、不安とワクワクが入り交じったような感情を掻き立てられてしまう。『古入道きたりて』や『夕闇地蔵』は恒川テイスト溢れた傑作。破滅しかけた世界で記憶の(そして生死の)再生と喪失を繰り返す『焼け野原コンティニュー』、一度しか乗れない時空船『銀の船』の無常感。人生の選択肢に間違いなんてないのかな?この2編が特に気に入った。どちらかと云えば『スタープレイヤー』に近い味わい。恒川作品に没入すると「自分ならどうするだろう」という感覚になる。2023/05/22
アッシュ姉
89
待望の文庫化!雑誌やアンソロジーに掲載された作品をまとめた短編集。アンソロジーはすべて読んだけど、いつか本になると信じて手放してしまったので嬉しい。『猫ミス!』の作品も入れて欲しかったので次の機会に期待。アンソロジーでも際立っていた銀の船や夕闇地蔵が再読でも印象深いが、本作のマイベストは表題作の白昼夢の森の少女。それにしてもどうしたらこんな面白くて、バラエティーに富んだ不思議な話を思いつくのだろうと感心していたところに、あとがきで恒川さんによる作品解説があったのがまた嬉しい。2022/07/14
ままこ
84
摩訶不思議の玉手箱。「古入道きたりて」「夕闇地蔵」は恒川さんらしい幻想的ホラー。タイトル作と「銀の船」は哲学的なSFファンタジー。エンドレス悪夢のSFホラー「焼け野原コンティニュー」シュールなサスペンスホラー「平成最後のおとしあな」両方ともあのラストはゾッとする。実話怪談「布団窟」も怖い。色んなホラーな味わいを楽しめる11編の短編集。あとがきも面白かった。2023/09/07
Kazuko Ohta
72
『夜市』を読んだとき、その妖しい光景が目の前に広がるようで魅了されました。本作の第1話『古入道きたりて』でそれを思い出し、1冊まるごと没入間違いなしだと思ったけれど、この第1話より気に入る話は最終話までついぞ出て来ず。ノスタルジーを感じるホラーというよりも、もう少し新しい印象を受けます。あとがきを見てみると、著者の意向のみで書いたというよりは、テーマを与えられて書いたものが多いよう。『夜市』のほうが好きとはいうものの、やはりこの著者の文体には引き込まれます。昭和、平成、それぞれのキャッチフレーズを考える。2022/07/28
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