創元推理文庫<br> たまさか人形堂それから

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創元推理文庫
たまさか人形堂それから

  • 著者名:津原泰水【著】
  • 価格 ¥789(本体¥718)
  • 東京創元社(2022/07発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784488469054

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内容説明

人形を売買するだけの自分に、ものを作る人々にのしかかる重圧は永久にわからない――スランプに陥った店の職人・冨永の言葉に傷つきながらも、せめて創作の一端に触れようと、老舗の人形店が開く教室に通い始めた玉阪人形堂の新人店主・澪。店にやってくる様々な顧客が持ち込む謎、そして人々との対話を通して、彼女は日々、人形に向き合う。少女たちが夢中になった国民的着せ替えドールを巡る騒動、髪が伸びる市松人形に隠された胸を打つ物語。当代きっての短篇の名手が贈る、『たまさか人形堂ものがたり』に続く珠玉のミステリ連作集。書き下ろし「戯曲 まさかの人形館」を収める。/解説=倉数茂

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あたびー

38
離れ難い思いで読了した「たまさか人形堂」に再び入店が叶うのは嬉しい限りです。相変わらずちょっと意地の悪い冨永くん、寡黙で何かを背負い続けている師村さん、そしてハイヒールが痛い澪さん。外部の人ながら準メンバーの辛辣な束前さん。軽井沢のコレクターも再登場です。ところで澪さんは今回初老の紳士に連れ回されたりしていますが、女性同伴の束前さんに心を乱されたり、シムさんの好物ピロシキに心を砕いたり、一体どちらなんでしょう?でもそれは永遠に謎のまま、もう物語はこれで終わってしまうのです…2022/11/07

ぶんぶん

21
【図書館】「たまさか人形堂」の第二弾! 三人の関係がますます縺れて来る、人形の出来、人々の思惑、人形を捲る物語、一筋縄では行かないお話し。 「たまさか人形堂」を読んでると、自然にゆったりして来る気分と言うのは何故なんだろうと、考える。 もう少し、澪の世界に浸りたいと思っていたら、急逝の知らせが・・・もう続きは読めないのか・・・沢山の著書がある作家さんと分ったので、他の著書も手を伸ばそうかと思っています。 どうぞ、安らかに、合掌!2022/11/05

maimai

12
かなりの勢いで津原作品を再読している。初読は文藝春秋の単行本だが、今回は第1作に続いて「ボーナストラック」のついた創元推理文庫版で。この連作は、津原作品としては肩の力の抜けた部類に入るという印象だが、それは読者の側からのこと。登場人物の配置、人物造形、人形を巡るあれこれと、作者が周到にこの作品を組み上げていることに改めて気づかされた。蔵数茂による解説の、多彩に見える津原の作品だが、一方で「美しく精妙なものを生み出そうとする」ことへの拘りが一貫して見て取れるという指摘は、核心をついていると思う。2022/10/12

すみっちょ

10
澪には時々イラッとさせられますが、自分に正直で目の前のことに全力投球する憎めない人という印象です。そんな彼女が冨永を見つけ出して再会した場面がとてもよかったです。冨永は小豆島で納得いく仕事をしてたまさか堂に帰ってくると信じていますが、果たしてそこまで描かれるのか…澪、シムさん、冨永の3人そろってこそのたまさか堂だと思うので、ぜひ冨永が戻った後の物語も続けてほしいと思っています。束前の存在感が前回よりも大幅に増してました。彼もまた愛すべきキャラクターだと思っています。2022/09/27

ガブリエル

6
たまさか人形堂ものがたりの続編。登場人物の人となりがわかってきたからか、前作よりも思い入れが深くなる。冨永君のスランプは彼の内に秘めた悩みを反映させる深刻なものだったけど、そこから抜け出るきっかけとなった彼のやり方、その現場での澪の涙にホロリときたし、師村さんが髪の伸びる市松人形の手業の奥深さに感じ入り自分の人生が無駄ではなかったと涙するシーンは感動もの。そして澪と束前さんの互いに憎からず思い合っているような関係性がなんだかいい。彼らのこれからをもっと見ていきたかったのに、もうそれが叶わないことが残念です2022/10/22

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