内容説明
核不拡散条約(NPT)という米英ソが主導した核抑止戦略を,冷戦の最前線であった西ドイツはなぜ,どのように受容したのか。いまも問い続けなければならない核秩序について,歴史から手がかりを探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
21
1968年に米英ソが作った核不拡散条約(NPT)を冷戦の最前線にあった西ベルリンと西ドイツが受け入れるまでの過程を描く。核兵器に関する技術が進化する中で欧州における安全保障をどう構築するか、西側諸国との「核共有」の議論なども交え、西ドイツが核抑止戦略にどのように適応せざるをえなかったかをアデナウアーからブラントまでの各政権ごとに検討する。自国の安全保障を部分的にせよ他国に委ねる、いわば主権の部分的放棄を受け入れる。この当時の西ドイツが困難な国際情勢の中でいかに最適解を模索してきたか痛いほど分かる。2023/03/26
紙狸
15
2021年刊行。NATOの枠組み内の「核共有」について学んだ。冷戦初期から西欧諸国には、通常戦力では対ソ連・東欧軍で劣勢だ、という危機感があった。「アメリカが西欧防衛のために核使用を含めてコミットする」ことを求めた。この西欧の願望が「核共有」につながった。NATOは侵略を受けたら核を先に使うかもしれないという立場だった。67年には、小規模な通常兵力から全面戦争まで多様なオプションを用いる「柔軟反応戦略」を採用した。しかし筆者は、西欧の通常兵力への投資が進まず、核兵器への依存は変わらなかった、と指摘する。2022/04/04
キミ兄
8
敬愛する岩間先生の最新刊。後書きにもあるが寡筆な先生、ここにこれまでの研究生活のすべてを込めてきたのだろうか。あまりにタイムリーな核共有を欧州がどう取り扱ったのかの議論。そしてブラント政権が時代の流れにも乗ってNPTを批准した経緯が詳しく語られる。まさしくセンターオブ欧州。一方で同じ時期にプラハの春などを経てワルシャワ条約機構内でも大きな動きがあったという記述は実に興味深い。でも岩間先生は東欧は専門外だということで扱わないだろうな。再読して先生の一文一文を味わいたいと思う。もちろん買いました。☆☆☆☆☆。2022/03/09
TAMON BOLIVAR
0
NPT加盟により、核兵器を作る能力を持ちながら核武装を放棄したドイツの歴史について実証的に分析した本。終わりで、大国の核の傘に依存することについての視座を示しており、ドイツの研究ではあるが日本にもかなり関わりのある視点を学ぶことができた。2025/05/18
-
- 電子書籍
- 京都祇園もも吉庵のあまから帖7
-
- 電子書籍
- 俺を好きだと言ってくれ 不器用御曹司の…
-
- 電子書籍
- 【単話版】異世界の貧乏農家に転生したの…
-
- 電子書籍
- わたしたちは無痛恋愛がしたい ~鍵垢女…
-
- 電子書籍
- AS+F(アズエフ)2003年5月号