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内容説明
経済はなぜ成長するのか? 人類はいかに生存してきたのか? これらの問いを入口に,今後も成長することは可能か、といった出口の問いに向けて,近代前から,分業,市場,貨幣といった経済学の用語のみならず,権力,文化,共同体等人文科学の基本的な概念も用いて,歴史を俯瞰する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
99
申し訳ないのですがこの大学授業用の経済史の本を読んでみて内容がずいぶん昔と比べて易しくなったという印象を受けました。範囲が広くなり世界史通史を経済的な側面からわかりやすく解説してあるということなのでしょう。一般の人が読むには非常にいい本であると感じます。ただ大学授業ではもうすこし時代を絞ったりした方がいいのではないかと思いました。私たちの時代には西洋経済史ということで、中世欧州経済史に焦点を絞っていました。それとウェーヴァ―については触れられていますが、シュムペーターについて触れられていないのが残念でした2019/04/30
Hiroki Nishizumi
10
良かった。のっけから人類の際限のない欲望について考えさせられる。ここが動物との一番の違いかも知れない。そして次に、前近代社会においては生産的な蓄積が否定されていたことに衝撃を受ける。間違って蓄積された剰余は支配者の建築・工芸品・服飾にあてられ、また民衆も祭礼・歓待・ポトラッチを行ったという。現代価値観との差異をさらに学びたくなった。さらに貨幣や市場、社会構造などお腹いっぱいになりながらも読み進められる平易な文章にも好感持てる。久しぶりのヒット作だ。2018/03/19
ア
9
古代から現代までの「経済史」で、簡単にまとめられないが、2017年時点までの歴史学・経済学のさまざまな研究が取り入れられており、大変勉強になった。前近代社会における祭礼や儀礼は剰余をわざと非生産的に消費するものだったとか、水戸黄門の物語は近代的経済的合理性に対するモラルエコノミーの抵抗とか、賃労働者の維持のための救貧事業とか、金融連鎖を偶発的な事故から守るための保険制度とか、目から鱗だった。2022/08/17
駒場
7
学生時代に好きだった教官の本。どこかのカンファレンスで教官が「僕ら経済史家は、実際に売れている『経済史』の本が上念司の本だったりする現実を重く受け止めねばならないのでは」みたいなことを言っていたと小耳に挟み、え~~~~絶対小野塚先生の本がスタンダードになってほしい~~~!と手に取った。新自由主義礼賛のなんちゃって経済史ではない、人間の「欲望」がどう解放され、その時共同体や家族や国家に何が起こったかを概観してくれる。介入的自由主義への忌避があり、格差もある社会で、我々の進む道とは?という思索に導く良書です2021/05/11
ふん
5
19世紀も18世紀も17世紀も16世紀も、自分にとってはただの「大昔」だけど、それぞれちがうらしい。西暦0年と500年のちがいはーーー、よくわかりませんが。目的合理性と価値合理性という言葉ははじめて知りました。日常の話のすれちがいの原因がかなり説明できそうです。脳のスペースに余裕ができた気がします。が、しばらくは3日くらいで夢中になって読めるただただおもしろい小説を読みたいです…2019/06/15