内容説明
「鎌倉殿の13人」を選んだのは政子か?中世史の新鋭が迫る比類なき女性政治家の実像。
鎌倉幕府の初代将軍・源頼朝の妻にして、2022年大河ドラマの主人公・二代執権北条義時の姉である北条政子。気が強くて嫉妬深く、冷酷でヒステリック……など、マイナスイメージの強い彼女だが、同時代史料から浮かび上がる政子の姿は違う。主体的で慈悲深く、武家政権の確立と御家人の地位向上を果たした、鎌倉幕府最重要人物としての顔が見えてくる。北条氏による編纂物の『吾妻鏡』だけでなく、『愚管抄』『明月記』『六代勝事記』などの京都側の史料や、大倉幕府周辺遺跡群の発掘調査などの考古学の成果も踏まえながら、類いまれなる政治力を発揮した女傑の全貌を明らかにする、大河ドラマファンはもちろん、中世史ファン必読の一冊。
〈目次〉
プロローグ――政治家・北条政子
第一章 御台所の日々
第二章 頼朝の後家として
第三章 尼将軍の時代
終 章 後代の政子像
エピローグ――鎌倉幕府を導いた尼将軍
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
74
政子すごい。 ほぼNHK大河どおりです。 史実を読むと、これからますます暗くなってくんだろうな。彼も彼も一族絶滅。 泰時は大政治家になるんですね。あの、ちょっとぼっとした人がねえ(全員すっかり配役イメージ)2022/08/19
鐵太郎
36
「鎌倉殿の13人」とは違う面から見た北条政子、って感じかな。「後家」というものが、現代の解釈と違って主人が亡くなったあとの代行として家の中で大きな権力がある地位だったと説き、頼朝亡きあとの二代、三代の鎌倉殿の後見として体をはったのだという。また、その後は尼将軍として、「貞観政要」などを学んで徳のある政治を目指したのだそうな。イメージとして心地いいのだけど、実際はどうだったのかな。2022/12/07
鯖
24
昨夜の大河で尼将軍となった政子について記した本。大河は三谷さんが政子について思い入れがありすぎて、聖母に描いてるところが鼻につき、残り2回で政治家となった感じ。本書は吾妻鏡とその他史書、下文等から政子の生涯を追う。比企の乱は能員が先に時政を討とうとしたという吾妻鏡の記述によるものだけれど、実際は北条のクーデターなので小御所合戦のほうがよいとか、北条の創世神話吾妻鏡はあんましあてにならないんだろうなあと。2022/12/05
フランソワーズ
23
彼女が将軍頼朝の正室であり、執権義時の姉であったから幕府の創業・守成に貢献できたというのは確かに事実ですが、決してその地位にあったからというだけではありません。その時々の局面で悩み、苦しみながらもより良い方向を求めて決断。時には後悔もし、悲嘆に暮れることもあったでしょうが、夫や子どもらの親族、御家人を始めとした周囲の人々の信頼を失わなかった。鎌倉時代において、北条政子という人は頼朝、義時と並ぶ、幕府の重責を担うことができた大器であったというのがよく分かります。→2022/10/13
PAO
23
「浮かび上がるのは主体的で慈悲深く、政治家として非常に有能な政子の姿である」…『明月記』「愚管抄』『六代勝事記』などの史籍を素材として『吾妻鏡』の史料批判を行い嫉妬深い悪女として偏って描かれがちな政子の実像を新書というコンパクトな形で捉えた良書。初期の鎌倉幕府の薄氷を踏む様な状況の中で度重なる危機を乗り越え武家政権の樹立とその後の安定をもたらした手腕には驚き日本でも有数の優れた政治家として評価されても良いのではと思いました。私の好きな守屋多々志画伯が政子を描いた絵も最後に紹介されていたのも嬉しかったです。2022/06/26
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