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内容説明
薬物やアルコールの「依存症」は、「意志の弱さのせい」ととらえられがちだ。現代の資本主義社会において「依存をめぐる行動はこの社会の中で必然的に生じる行動パターンのひとつ」と著者は説く。本書では、当事者コミュニティ(薬物依存の回復支援施設「ダルク」、依存症からの回復のための世界規模の共同体「十二ステップ・グループ」)における回復実践をみていきながら、これらが示す人類の新たな共生のあり方を描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中玉ケビン砂糖
62
①依存症緩和のための第一歩はまず「死ぬ気で頑張れば自分で克服できる」という当事者の「思い込み」を改めさせることが何よりも重要だという。断酒会やグループセラピーの盛んなアメリカなどの先進地域と比べ、『「アイツはもう終わった人間だ」と後ろ指をさされるような身には絶対なりたくない』という世間の目に対する強迫が日本では著しく、一度アウティングしてしまったら元の社会に復帰するのが日本では極めて難しいという現状(悩ましい課題)。②一時期ワイドショーの見世物になったDARCの内情について簡潔に纏められているが、2022/07/03
キク
62
ダルクやAA(アルコール関連の自助組織)、NA(ドラッグ関連の自助組織)を通して、現代の生活と社会の有り様を考察していく。すごく優しく語られているけれど、その内容は痛い。ダルクのモットーである「just for today(ただ今日だけを)」が岸田アドラーと重なる。AAやNAが実践する12ステップは、「ダンス・ダンス・ダンス」で語られた「暗闇のなかでも踊り続けるんだよ。ステップをやめちゃ駄目だ」という言葉を思い出させる。「『自分を制御出来る』と思い込んでいることが最大の誤り」重いけど、その通りだと思う。2022/06/04
ネギっ子gen
53
【弱さから善さへと向かう意欲の物語(ナラティブ)】薬物依存の回復支援施設「ダルク」と依存症の回復を目指す共同体「12ステップ・グループ」における回復実践を考察しながら、人類の新たな共生のあり方を提示した新書。<現代には、さまざまな形での孤立があります。無数の人とコミュニケーションを繰り広げながらの孤立もあります。依存症もまた、苦しみを自分ひとりきりで処理しようとする点で孤立の一形態といえます。実際、今の自己のあり方や社会環境は人々を分断する力が強く、他者とつながることは誰にとっても難しいものなのだ>と。⇒2024/10/25
buuupuuu
21
ベイトソンを援用して、依存症とその回復実践について、さらには現代社会について考える。依存症の根底には、自己制御への強すぎる志向と、競争的な対人関係とがあり、それが依存によって緩められているのだと考えられる。ダルクや12ステップ・グループでの回復実践においては、そのような自己制御の幻想を手放すことと、自己を大きな力に委ねることとが目指される。現代社会では、欲望の充足が先送りされ続け、行為がエスカレートしていく。回復を目指す共同体では、極端へ向かう衝動を抑え、現状を受け入れること、直接的な充足が求められる。2022/11/18
カッパ
11
【2251】本書の目的は依存症の理解を経由しながら、わたしたちの日々の行動と現代社会の傾向性をとらえなおすことである。とかかれている。もうひとつ目的は人類学者グレゴリーバイトソンの認識論の一端を紹介することだ。とかかれている。また、ダルクやAA、支援者の声も紹介されている。依存症の回復の難しさをさらに感じる1冊にもなった。2022/08/06
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