内容説明
賞賛と悪罵を浴びた戦慄のデビュー作
大黒様を捨てようとして始まる日常の中の異次元世界。日本文学史に衝撃的に登場した芥川賞作家の処女小説。「河原のアパラ」を併載。
三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。誰もいない部屋に転がる不愉快きわまりない金属の大黒、今日こそ捨ててこます日本にパンクを実在させた町田康が文学の新世紀を切り拓き、作家としても熱狂的な支持を得た鮮烈なデビュー作、待望の文庫化。
解説・三浦雅士
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
馨
240
だめだめな生活をしている楠くんが、ただ1体の大黒様を破棄することがきっかけでここまでの広がりを持たせることが出来るなんて、相当なくだらない話だったけど驚きと変な後味で何か特徴があって惹かれて最後まで一気に読んでしまいました。町田さんのデビュー作だったとは知りませんでした。最初からアウトローな文章を書かれる方だったのですね。2016/10/10
青乃108号
219
行きたくないなあとよちよち歩いて職場に向かっていたら路面に蹴つまづいて派手に転倒しその姿があまりに大仰だった為か傍にいた紳士が大丈夫ですか家でしばらく休みませんかなどと声を掛けてくれたのであるがなんとか立ち上がれあちこち擦り傷だらけであちこち痛みはあったのだが幸い骨折などはしておらず大丈夫です大丈夫ですとよろよろと歩いて何とか職場に辿り着いたが情けなく悲しくもあって俺はすっかり鬱状態のまま障害者のお世話などしてよっぽど気をつけて帰宅してこの本を読んだら何か気持ちがすっきりして人生いろいろよねえと思った。2023/11/22
❁かな❁
218
もう町田康さん、いいわー!好きやわー!って言いたくなるような感じ♡町田康さん鮮烈のデビュー作!「くっすん大黒」「河原のアペラ」の2編入り。どちらも冒頭から面白い♪えっ?何、何?どうしたん??って聞きながらどんどん町田さんワールドに引き込まれる!『夫婦茶碗』を読んだ時も思ったけどとにかく語り口が終始リズミカルで読みやすくユーモアがある!何度も笑ってしまった♫掛け合いも最高!「くっすん大黒」の大黒を捨てようとしても捨てれない件や歌合戦など面白かった♡「河原のアペラ」のフォーク並びっていいよね!中毒性ある作品♡2018/02/05
ehirano1
164
私小説でした、多分。過去の著者自身が虚像だったということを1つ1つ確認していく話。それを漫才のようなノリとスピード感で話を進める筆力に感服しました。一方で、「大黒様≒著者自身」ではないのでしょうか?もしそうであれば、大黒様がなかなかバランスが悪かったり、(畏れ多くも)罵倒したり、なかなか捨てれなかったり、というのはなんだか説明がつくのかもしれないと思いました。その意味で、これは深いです。2024/02/06
ケイ
145
笑いながらあっという間に読んだ表題作。クスクス、それに吹き出すポイントがいっぱい。以前に途中で町田康作品を投げ出したのは何故だろうって自問しながらの読書。で、何で豆売なの?どこかにあった? どうでもいいけど、そこすらおもしろい。そして、後半2作目。辛抱して読むが、ダメだ、入ってこなかった。リズムにのれなかった。以前に投げ出した作品は、このリズムだったのだろう。ロックで軽快・愉快か、不協和音ロックか、の違い。不協和音は、私と作品がということ 2018/02/26