内容説明
常世と現世のあわいにある、日本橋の紙問屋《雪魚堂(せつなどう)》。
そこを訪れる客は、白銀の紙雪が舞う不思議な百鬼夜行に誘われるという。
転職活動中の猪瀬成海(いのせなるみ)は、ある日雪魚堂に迷い込み、
黒ずくめの少年・カナと、胡散臭さ満点の店主名代・魚ノ丞(なのすけ)に出会う。
次の勤め先が見つかるまで、その店の手伝いをすることになった成海は、
様々な心の痛みを背負った客人たちとの交流の中で、
彼女自身も忘れていた、ある「真実」へと辿り着くのだが――。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
昼夜
18
日常の鬱憤をはらしたり自分の殻を破ったり妖怪の皮を借りてやりたい放題な百鬼夜行が夜な夜な繰り広げられている光景は「平成狸合戦ぽんぽこ」を思い出して楽しくなるけど、心の奥底で渦巻く様々な人それぞれのあれやこれがそうさせていると思うと打ち上げ花火みたいだった。私はどんな妖怪の皮を借りることになるのか、知らない妖怪が一体どれだけいるのかが気になって妖怪辞典が欲しくなりました(笑)。2022/06/04
よっしー
15
素敵な表示絵に惹かれて手に取りました。人の持っている負の感情、その行き先が自分ではどうにもならなくなった時に救いとなるのが雪魚堂なのでしょうか。登場人物の癖が強くてあまり好きにはなれなかったのですが…話の設定は面白かったです。自分がこの百鬼夜行の仲間になる時はどんな殻を被っているのだろう。人様に迷惑をかけずに楽しんておきたいですね(笑2025/01/14
starly
4
周囲に辛く当たったり我慢して溜め込んでしまう人もいたり…なんて人間関係で息苦しく感じてしまう世の中。寄り添ってくれる人や心の居場所があれば少しは自分自身にも優しくなれるでろうと思う。 常世と現世の淡い中、不思議な百鬼夜行を通じて主人公、鳴海が本来の自分を取り戻す。2025/01/25
服部匠
4
読み手を魅了する語り口調の華やかさとユーモアの影に隠れた、不穏な作風は、現代を生きるひとびとの苦しみや悩みを色濃く写している。百鬼夜行の幻想の美しさと不思議さ、ハラハラドキドキさせる臨場感あふれる描写は作品への没頭を誘っていた。 主人公の成海は、一見すればでしゃばりで気の強い女性。しかし物語を読み進めれば、常に自分を鼓舞し、必死に「大人」として生きようともがいている姿が読み手である自分にも重なり、共感してしまう。 大人のための救いと許しの物語だった。2024/03/05
Hanna
1
表紙絵に惹かれて読んでみたけれど、ちょっと合いませんでした。2025/02/25