ディスカヴァーebook選書<br> 桂離宮―様式の背後を探る

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ディスカヴァーebook選書
桂離宮―様式の背後を探る

  • ISBN:9784122018020

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内容説明

『風土』『鎖国』等の名著で知られる和辻哲郎による桂離宮の様式について探った一書。
その序文では、問題意識として次のように述べている。
「この建築は日光廟と時を同じくして製作されたものであるが、その日光廟と桂離宮とは、同時代の建築として同じ時代的様式を示してゐるどころか、およそ建築として考へられる限りの最も極端な反對様式を示してゐるやうに見える。日光廟はあらゆる技術を悉く注ぎ込んで装飾に装飾を重ねたもの、言ひかへればこれでもか!といふやうに飽くことなく美を積み重ねることによって妓上の美が作り出せると考へた態度によって作られたものであるが、桂離宮はちやうどその反對に、出來るだけ装飾を捨て、出來るだけ形を簡素にすることによって、反って簸上の美が現はれるとする態度によって作られたものである。從って日光廟を「結榊」とか「美しい」とかと感ずるやうな人々の間から桂離宮のやうなものは生れて來ないであらうし、桂離宮を美しいと感ずるやうな人奇の間では、日光廟のやうなものは到底作る氣持になれなかったであらう。それほどに異なった二つの様式が、同じ時代に、しかも接点がなかったとも思へない人々の間に、出現したといふことは、一体何を意味するのであらうか。」
(※本書は1991/4/1に発売し、2022/5/17に電子化をいたしました)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

T.Matsumoto

4
建築様式論とは異なる視点の論考が特徴的。特に、なぜ桂に建てたのかの分析は非常に面白いです。天王山のあたりを過ぎて桂のあたりに来ると、京都盆地がパッと開けて、遠くに東山を望むその風景を見ると、ああ京都に来たなぁと感じるのは、個人的にも強く共感。現代人にも了解可能な風土的な視点です。また、様式にとらわれることなく、古書院と中書院の意匠を、増築の歴史も踏まえながら対比的に紐解いていく視点は、驚くほど現代的な論考。桂離宮行ったことないけど、行ったことがあるかのように話せること間違いないです。2023/05/27

katashin86

1
京都にいた頃、ほぼ予備知識なしで行った桂離宮の美しさは今でも忘れられない、強い印象のまま残っているけど、この本で述べられているような「見どころ」をいくつも見落とした気がして、もったいないことをした、という気にもなる。 先入観なしで見に行く感動と、知っているからこそわかる感動、案配は難しい。2016/01/04

重本厚志

0
すべて読むのが中々苦労した1冊。 桂離宮を完成させるためにかなり長い時間を要している。そのために一人の設計で作られたというより、3期に分けて工事が行われている。 著者は初代八条宮の影響が大きい事を伝えたいような印象を受けた。2023/07/09

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